非日常のショッピングを味わえる
YES GOOD MARKETの新たな出発。

ART

2016年にスタートしたYES GOOD MARKET。これまで、静岡県静岡市にあるエスパルスドリームプラザで毎年開催され、昨年末には静岡駅前のパルコの屋上でもおこなわれた。回を重ねるごとにパワーアップするこのマーケット。第5回目となる今回は、沼津市にあるinn the parkへと会場を移して、5月11日と12日の2日に渡って開催されることに。YES GOOD MARKETを主催するSEE SEEのディレクター湯本弘通さんに、開催場所を移した理由やグレードアップする今年の内容について話を聞いてみると、当日まで待ちきれないほど楽しみなコンテンツが準備されていた。

いい買い物だけが目的ではなく
感性を磨くことができる2日間

静岡ローカルに密着したショップをはじめ、東京を拠点にして活躍するブランドやセレクトショップ、そしてアーティストまでもが参加するYES GOOD MARKET。毎回多くの来場者が訪れ、その日限りの買い物を楽しんでいる。今年は、これまでの開催地である富士山を望む清水港に面した〈エスパルスドリームプラザ〉から、沼津市街を見渡せる自然豊かな公園〈inn the park〉へ移転することになった。
「ドリームプラザさんから『何かやりませんか?』と提案してもらったのがYES GOOD MARKETを開催したきっかけ。どうせ何かをやるなら、僕がカッコいいと思う好きな人たちを静岡に呼んで、サンフランシスコのフリーマーケットのようなことやりたいと思い、さまざまなブランドやショップ、アーティストに声を掛けて集まっていただいたら予想以上の反響がありました。毎年、ありがたいことに来場者も出店したいと言ってくださるお店も増えていき、さらにステップアップしたいと考えるようになりました」

規模が拡大し大きなマーケットに成長したYES GOOD MARKET。次なるステージを模索していた昨年、こんな出会いがあったそうだ。
「去年のYES GOOD MARKETに足を運んでくださったinn the parkの矢部さんから『うちの会場を使ってもらってYES GOOD MARKETをやりたい』というお話をいただきました。実際に訪れてみると、会場や施設が僕の理想とマッチしていて、すぐにイメージが湧いてきました。前回まではマーケットとして成立させることはできていましたが、買い物を通じて普段は味わえない体験ができるマーケットこそが、僕の理想とするYES GOOD MARKET。さらなるパワーアップを図るため、ドリームプラザで去年まで積み重ねてきたことを一旦ゼロにする覚悟で移転を決意しました」

極上の食事やお酒、音楽が
ショッピングに花を添える

そう話す湯本さんに、今年の会場となるinn the parkを案内してもらいながら、現在予定しているコンテンツや構想を教えてもらうことに。まず紹介してくれたのがメインとなるマーケットエリア。ここに各ブランドやショップ、飲食店のブースが連なる。
「ここに約80店のショップや飲食店が出店します。さまざまなショップが円を描くように並び、中央に生えている木の周りにバーカウンターを設置してお酒やジュースを提供します。当日のYES GOOD MARKETでしか買えないモノもたくさん仕込んでくれているショップもありますよ。いい買い物をした後って、心が踊るように満足しますよね。知らない人同士でもお酒を飲みながら『それいいですね』なんて声をかけて、買ったものを見せ合いながらコミュニケーションができるような場所にするため、中央にバーカウンターを設けます。5月には新緑の季節にふさわしく、すべての木々に若葉が生い茂り、まるで森のような会場になりますよ!」

「出店にお声がけしたブランドやセレクトショップはもちろんですが、飲食店も専門性があってこだわりが強いお店ばかり。コーヒーは何店舗も出店するので、飲み比べをしてもらえば個性や違いが分かると思います。ビールやワイン、日本酒、カクテルなどの飲み物をひとつの店舗で全部販売しているのではなく、それぞれに特化したお店があることでお客さんもこだわりを感じ取ってもらえるのではないでしょうか。クラフトビールに自然派ワイン、クラフトジンを使ったカクテルやコールドプレスしたフレッシュジュースなど、大人から子どもまでが楽しめる飲み物と、それに組み合わせる食事も楽しんでもらえるように考えました。お寿司やエスニック料理、中華料理、ハンバーガーといった本格的な料理を提供するお店が揃っています」

そんなマーケットエリアの一角にある木の周りに、浮いたようなステージのDJブースを用意する。そこでは、King Of Diggin’ことDJ MUROやライムスターのDJ JINといったシーンの重鎮や、東京を拠点に全国で活躍するレーベルHOLE AND HOLLANDのMamazuやFUSHIMINGなどといった豪華なDJ陣が心地いい音楽をセレクトするのだ。
「スペシャルなDJたちによる素敵な選曲が、どこにいても聴こえてきて、気持ち良く買い物ができる空間にします。香港のローカルで活躍しているDJたちも招致する予定。本当に悩みましたが、音楽フェスではなく、あくまでマーケットなので、今年はライヴをなくしてDJだけにしました。最高の音楽を楽しんでもらいながら買い物ができる贅沢を味わってもらえます」

2日間でも堪能できないほど
充実したコンテンツを準備

そんなショッピングを楽しめる空間の他にも、心地よく、くつろぐことができる演出が盛りだくさん。
「この会場は、愛犬と一緒にお越しいただけます。茅ヶ崎で犬用のギアやフードを販売しているドッグショップDOGGY BRO.さんのプロデュースで、犬のためのプールも設営。犬はプールで遊ぶことで、日常的に使っていない筋肉を動かし、運動不足解消とマッサージ効果があるそうです。人と犬がライフスタイルをともにするサンフランシスコのように、人だけではなく犬も楽しんでもらえるマーケットを目指しています」

「フットサルコートも設置する予定。そこではフットボールカルチャーブランド、LUZ e SOMBRAのチームによるエキシビションを予定しています。その迫力のあるプレイはパフォーマンスショーのように楽しんでいただけると思います。来場者のみなさんにも体を動かしてもらえるように、現在検討しているところです」

これらが準備されたマーケットエリアから少し外れると、そこにあるのは遊具が充実しているキッズエリア。
「子どもたちにはここでも遊んでもらいたいです。テーブルや椅子を準備するので、子どもたちを見守りながら、親はゆっくりとお過ごしいただけます」

キッズエリアの隣にあるのはシアターエリア。ここでは夕暮れから、映画などの映像を上映する予定だそう。
「カルチャーにまつわる映画を流しっぱなしにして、お酒を飲みながらリラックスできるような場所です。そして、当日のコース料理をご予約いただいた方々には、ミコト屋さんが今までに訪れた産地や食材に関する映像をここで観ていただいてから食事にご案内します」

「コース料理の一環として映像を提供すれば、これまでとは違った食事の楽しみ方ができるはず。それを観た後に、こちらの野外にある食事スペースに移動していただいて、ミコト屋の鉄平さんとシェフの堀田さん、バーテンダーのペルチさんの3人によるコース料理をお召し上がりいただきます。なにやら普通ではなく、おもしろい仕掛けがあるコース料理を予定しているそうなので、そちらもぜひ楽しみにしてもらいたいです」

最前線のアーティストたちの
作品を展示するギャラリーも

そして、YES GOOD MARKETに欠かせないエッセンスであるアートを感じてもらうため、特別にアートギャラリーを設け、第一線で活躍するアーティストたちの作品を展示するのも昨年までとの大きな違い。
「これまではどうしてもアート作品を展示しにくく、それはかなり気にしていました。でも、inn the parkでは整った環境のギャラリーを設営できるとのことでしたので、それが移転した大きな理由のひとつ。現在作品を展示するためのギャラリーを作っているところです。“YGM Gallery”として僕がキュレーターを務め、国内外で活躍しているアーティストのみなさんの作品を展示しますが、僕が驚くほど豪華なアーティストが揃っていますので期待してもらいたいです。もちろんマーケットの一部なので、すべての作品を購入できます。そこで感銘を受けた好きなアートを自宅に飾って、アートがそばにある生活を送っていただくのが理想。見応えのあるギャラリーとなるので、必ず足を運んでもらいたいです」

キャンプや宿泊施設で
一晩中、遊び尽くそう

さらに、今年のYES GOOD MARKETの大きなトピックのひとつとして挙げられるのがキャンプ。それは、1日だけではすべてを楽しめないというほど充実した内容を物語っている。
「モノを買って終わりではなく、その後にみんなでお酒を飲み交わして楽しみたいです。だから物販は、基本的に18時でクローズして、それ以降はバータイム。出店者もアーティストも、お客さんもお酒を飲んで、帰りの運転などを気にせず楽しんでもらいたいので、キャンプをできるようにしました。キャンプサイトを2ヶ所準備していて、合計100張り以上のテントを立てられるようにします。キャンプ以外にも、inn the parkに設置されているドームテントや宿泊施設もご利用いただけます」


そのバータイムは、もちろんキャンプで宿泊しない人たちも参加可能であり、そこにはこんな想いが込められている。
「お酒を飲みながらみんなでワイワイ楽しめば、いつもなら接する機会がない人にも近づくことができると思います。アーティストやブランドの人などに、いろんな話を聞いたり仲良くなれるチャンスがあったり、それは刺激的な体験になると思います。その会場のムードは、昼間とはまた違った特別な一面を見せてくれるはず。音楽とライトアップの演出で盛り上げたいと思っています」

非日常を五感で体験できる
世界一のマーケットを目指して

ファッション・アート・音楽・食事。そのすべてのカルチャーが繋がるYES GOOD MARKET。この他にも充実したコンテンツが控える2日間は、入場料以上の満足感を得られると断言できる。会場の面積が数倍に広がった分、それと比例した楽しみが待っていて、何ものにも代えがたい価値ある時間を過ごせることだろう。
「去年の100倍楽しんでもらえるように、去年の夏くらいから準備を進めてきました。感度の高さならどこにも負けないマーケットにしたいです。それは、出店するブランドやショップ、展示するアーティスト、体験できるコンテンツだけではありません。例えば、前売り入場券とセットになったマーケットバッグを作っていたり、会場内の案内看板を手書きのサインペインターに依頼していたり、そういったメインとなる買い物以外の細かい部分でもワクワクしてもらえるような工夫をたくさん計画中。音楽フェスではなくマーケットに特化しているので、高いホスピタリティを提供できるように心がけています。普段は味わえない雰囲気の中で買い物を楽しめる、非日常の2日間を約束します」

PHOTO/DAIKI KATSUMATA TEXT/SHOGO KOMATSU