福岡・警固エリアにある立ち飲み屋「Ollie」。ファサードにはネオンが掲げられ、赤く灯っていれば営業中の合図だ。2025年6月にスタートし、日本各地から集めたクラフトビールやクラフトジン、地元の焼酎が揃うだけでなく、出来立てアツアツの本格ナポリピザが堪能できる。界隈からはカルチャースポットとしても認知され、一度店を覗けば雰囲気のある人ばかり……。一体どんなお店? オーナーの岩元さんと店長の川越さんに、お店の成り立ちとYGMにかける思いを聞いた。
(右)岩元勇太
1991年生まれ、鹿児島県出身。約10年、海外や福岡の飲食店などで経験を積み、そこで肌で感じた感性を活かし、2025年6月に福岡・警固に「Ollie」をオープン。現在は福岡市で飲食店など4店舗を経営。大のサーフィン好きでもある。
https://www.instagram.com/ollie.tachinomi/
(左)川越健太郎
1992年生まれ、宮崎県出身。大阪の辻調理専門学校を卒業後、福岡のイタリアンやピザ専門店で経験を積む。その後、4年ほどアパレル業界で働いたのち、「Ollie」の店長に。お店のメニューもすべて考案する。
二人が警固にお店を構えるまで。

ーまずは、「Ollie」立ち上げの経緯から教えてください。
岩元:「Ollie」をオープンする前に大名(天神に隣接するエリア)でバーをやっていたんですけど、次第に“次に出すなら立ち飲み屋をやりたい”と思うようになって。それで川越を誘ってはじめました。
ーそもそも、お二人はどういう関係だったんでしょうか。
川越:ただの友達です(笑)。最初に会ったのは、たしか2018年ぐらい。普通に飲みの場で会ったんですけど、共通の知人がたくさんいたのもあって、気づいたら一緒に遊ぶようになっていた感じですね。当時は、まさか一緒にお店をやるなんて思ってもみなかったです。で、あるとき岩元から「一緒にお店やらない?」って誘われて。
岩元:川越は、元々アパレル会社が飲食店を出すという話をきっかけに、飲食業界からアパレル業界へ転職したんですけど、その後、コロナの影響で飲食店出店の話が流れてしまい、そのままアパレル店員として働いていました。そんな中、「せっかくだったら一緒に店を出そうよ」という話になり、お互いの意見が一致したことがお店を始めるきっかけになりました。

ー「Ollie」のある警固エリアは、天神からも少し距離があります。どんな場所なのでしょうか?
川越:この辺りは、特に飲食店が多いです。個人店もたくさんあって、夜になると賑わう場所ですね。ここ最近、また徐々に盛り上がってきていて、感度の高い人が集まっている気がします。
ーこの場所にオープンした理由も教えてください。
岩元:ここは、今ではとても有名なお店が、以前ドライフラワーやパン、ドーナツなどを売っていた場所です。僕もよく買いに来ていたのですが、当時から素敵な場所だなと思っていて。そんな矢先にここが空くと聞いて、縁を感じて即決しました。
注文が入ってから、生地を伸ばし、焼き上げる。


ーお酒のラインナップも、こだわりが詰まってますね。
岩元:元々クラフトジンやクラフトビールが好きで、日本各地のものを取り揃えています。
川越:九州は焼酎文化が強い土地でもあるので、変わり種の焼酎も置いています。ジンジャー焼酎やスパイスが入った焼酎とか。

岩元:ビールは、オープン当初から福岡のビール好きで知らない人はいない「BEERSONIC(ビアソニック)」というクラフトビール専門の酒屋さんから、自分たちの好きなものをセレクトして置かせていただいています。希少な銘柄も多く取り揃えてますよ。


ーピザにはどのような特徴が?
川越:生地はイタリアの小麦粉を使って、トマトソースは新鮮なトマトと塩だけでシンプルに。モッツァレラチーズもイタリア産のものを。すべて注文を受けてから生地を伸ばして、オーブンの温度を400度近くまで上げてから、3〜4分で一気に焼き上げています。
岩元:テイクアウトもやっているので、一杯だけ飲んで、ピザを持って帰る方も結構いますよ。

ー他にも九州らしいメニューが多いですね。
川越:ぼくが宮崎県の出身なので、チキン南蛮なんかもメニューにあります。
岩元:普通の居酒屋さんだと一人前ってわりと大きいじゃないですか。うちは立ち飲みなので、ポーションを小さくして、チキン南蛮をはじめ一口サイズでリーズナブルに提供しています。
美味しいのは当たり前。大事なのは、そこから先。

ー「Ollie」のSNSを拝見すると、雰囲気のあるお客さんが多い印象を受けました。実際はどんなお客さんが?
岩元:アパレルの人たちをはじめ、サービス業の人が仕事終わりに寄ってくれることが多いですね。2軒目からの利用が多いですが、1軒目の前の“0次会”として、ふらっと一杯立ち寄っていただくのも大歓迎です。


ーまだオープンして1年ですが、ここをハブにコミュニティができている感覚はありますか?
川越:常連さんも多く「行けば誰かいるだろう」と思って一人で来てくれる人もいます。あと、ここで繋がって、そのあと一緒に仕事をしているお客さんもいたり。そういう光景を見ていると、改めてお店を作ってよかったなと思います。
岩元:もちろん、一見さんも大歓迎です。スタッフは見た目が髭モジャでいかついですけど、優しいので安心して来てください(笑)。
川越:お待ちしてます(笑)。

ー美味しいお店が多い福岡では、生き残ること自体が難しいと思いますが、そのあたりはどう考えていますか?
川越:たしかに、福岡の飲食店って美味しいのは当たり前。そこからどう自分たちの色を出せるかというのが勝負だと思ってます。なのでピザもですし、一品料理も手を抜かない。そこに自分たちの感性を混ぜてお店を作りたいとずっと思っていますし、そこに共感してくれたお客さんが、また人を呼んでくれて、循環していってるのがいまだと思います。そこはブレずに続けていきたいですね。
福岡の空気ごと、京都へ。

ーYGMへはどのような経緯で参加することに?
岩元:知り合いに(高岡)周策さんというコラージュアーティスト(YGM 2024のメインビジュアルを担当)がいるのですが、彼がアーバンリサーチ京都店でポップアップイベントをやるということで、僕らがケータリングとして入らせてもらったんです。そこでピザを提供したら気に入ってもらえて、「こういうイベントをやっているんですけど、どう?」と声をかけていただいたのがきっかけです。

ー他のイベントに出店することは多いんですか?
岩元:あまり出ないですね。そもそも、外でピザを出せる環境をつくること自体が結構難しくて。でも、今回は出たいなと思ったんです。
川越:YGMの雰囲気がうちと合っていそうだな、という感覚がありました。ファッション系の人が多いイベントだと聞いていたので、僕らのテイストもハマるんじゃないかなと。あとは単純に、これまでのイベントがすごくかっこよかったので興味もあって。あの会場の作り込みはホントすごいなと!

ー当日はどんな形で出店する予定ですか?
川越:お店と同じように、その場で生地を伸ばして、窯で焼きたてのピザを提供したいと思っています。ライブ感もぜひ楽しんでもらいたい。ただ、窯をどうするか、運用方法なんかは検討中という感じです。ドリンクは九州の珍しいお酒も持っていこうと思っています。
ー参加するにあたって、楽しみにしていることはありますか?
川越:来場者は九州以外の方ばかりだと思うので、まずはその人たちにピザがどう受け入れてもらえるかが楽しみですね。
岩元:同じくです。他にも出店者さんとの繋がりも楽しみにしています。新しい関係ができたら嬉しいですね。

ー京都には、これまで行かれたことはありますか?
岩元:実はほとんどなくて、アーバンリサーチのケータリングへ行ったときが初めてかもしれません。これまでは観光の街のイメージでしたけど、おいしいご飯屋さんが予想以上にたくさんあることに驚きました。また行きたいなと思っていたので、今回はいいきっかけをもらえたなと思っています。


ー最後に、福岡は大都市でありながら、東京や大阪とも違う、独自の空気感がある場所だなと感じます。その要因は何だと思いますか?
岩元:固定概念にとらわれていない人が多いのかもしれません。福岡は、九州各地から面白い人が集まる場所。それが街の雰囲気にも直結しているのかもしれないですね。なのでYGMでは福岡の雰囲気を含めて、お届けできたらと思ってます。楽しみにしていてください!
Photo:Shinsaku Yasujima
Text:Keisuke Kimura
Edit:Jun Nakada