髪を切らない日も、寄っていい。
GOOD THINGが京都へ持っていく、日常の続き。

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髪を切る。服を見る。メガネを試す。コーヒーを飲んで、誰かと少し話す。GOOD THINGが掲げる「Daily Standard」は、美容室という枠の中だけでは完結しない。ヘアスタイリストの中江智野さんと、古着屋「INCVN」のストアマネージャーを務める作田滉さん。それぞれ違う視点を持つ二人が同じ場所にいることで、髪と服、そして人のつながりがゆるやかに混ざっていく。今回のYES GOOD MARKET(以下、YGM)では、古着を中心としたフリーマーケットを展開するという。GOOD THINGという場所のつくり方と、二人が京都へ持っていくものについて聞いた。

「Daily Standard」をコンセプトに、日常の基準を少し上げることを目指すヘアサロン「GOOD THING」。ヘアカットだけでなく、アイウエアやコーヒー、古着などを通して、髪を切る予定がなくても立ち寄れる場所をつくっている。中江さんは代官山店を拠点にヘアスタイリストとして勤務しながら、月に一度の「Ladies Day」では古着のセレクトも担当。作田さんは2026年1月に入社。GOOD THINGが展開する古着屋「INCVN」でストアマネージャーを務める。
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髪を切らない日にも、GOOD THINGへ。

ーGOOD THINGでの、それぞれの役割から教えてください。

中江:私は普段、代官山店で美容師をしています。それとは別に、今年から月に1回、五本木店で「Ladies Day」を設けていて、美容師をしながら、作田くんと一緒に買い付けたレディースの古着も販売しています。

ー古着のバイイングは、もともと経験があったんですか?

中江:ちゃんとバイイングするのは初めてです。以前セレクトショップで働いていたことはありますけど、接客する側でした。いざ自分で選ぶと、最初は自分が欲しくなっちゃう(笑)。でも、その服を買ってくれる人を想像しながら選ぶのは面白いですね。髪だけじゃなく、トータルでスタイリングする感覚があります。

作田:中江さんが「なぜこれをかわいいと思ったのか」を、そのまま話せるのがいいんです。やっぱりメンズ寄りの僕とは目のつけどころが違いますし、その目線はINCVNにも必要だと思っています。

GOOD THING 五本木から徒歩10分ほどの場所にある古着屋「INCVN」。

ー作田さんは、美容師とは別の立場でGOOD THINGに入られたんですよね。

作田:はい。2026年1月に入社して、INCVNのストアマネージャー兼バイヤーをしています。前職はアパレルです。もともとGOOD THINGにはお客さんとして髪を切ってもらっていました。

ー美容室にアパレルの人が入ることで、見え方も変わりましたか?

作田:美容師さんの私服って、アパレルにいた僕から見てもすごく自由で、カルチャーがあるんです。僕がアパレルで培ってきた感覚を美容師さんに渡せたら面白いし、その逆もある。INCVNには明確なジャンルを決めず、そういう感覚を交換できる場所になってほしいと思っています。

ーGOOD THINGの「Daily Standard」という言葉を、二人はどう捉えていますか?

中江:美容室なので髪を切りたい人が来るのはもちろんですけど、それだけじゃないんです。友達がふらっと喋りに来たり、お客さん同士がここで知り合ったり。服だけ見に来る人もいれば、メガネを見たり、コーヒーを飲みに来る人もいる。髪を切る用事がなくても寄れる場所でありたいですね。

作田:僕も入社前から、その感じはありました。北参道店のカウンターに、カットしないお客さんが座って普通に話していたり。「こんにちは」から始まって、しばらくコーヒー飲みながら喋ってから「じゃあ、そろそろ切りましょうか」みたいな(笑)。良い意味で美容室然としていない感じが、日常っぽくていいなって思います。

“語る”人と、“かわいい”で選ぶ人。

ー今回のYGMでは、古着を中心に持っていくと伺っています。

作田:僕はまずLevi’s 517™ですね。一般的にはブーツカットですけど、実際に穿くとフレアがそこまで強く見えない。501®を穿くような感覚で、少しだけ上品に見せられるバランスが好きなんです。

ーかなり517™を研究されていますよね。

作田:好きなので(笑)。膝まわりと裾幅が近い個体も多くて、平置きではブーツカットでも、穿くとほぼストレートに見えるものもある。その微妙な差をスタイリングで遊べるのが面白いです。サーフカルチャーも好きなので、濃いインディゴより、ライトブルーや少し砂っぽい色にも惹かれます。

ー作田さんに対して、中江さんはかなり直感的に選ばれていますか?

中江:そうですね。少し攻めた髪型に、デニムとシンプルなTシャツくらいが一番格好いいと思っていて。服はシンプルでも、髪型まで含めたらちゃんとスタイルになる。私は古着の年代や背景より、「かわいい」「この色がいい」で選ぶことの方が多いです。

作田:男性って「これは何年代で」と蘊蓄を求めがちですよね(笑)。中江さんはそこを飛び越えて、色や形、生地で選ぶ。それが面白いんです。

ー他には、どんなものを?

中江:今は、体にフィットするコンパクトなジャケットや、細身のパンツに合わせたいフレンチスリーブのトップスを集めました。少し前までオーバーサイズが多かったぶん、今は短い丈やすっきりしたシルエットが新鮮かなって。きれいにもカジュアルにも着られるものが気分ですね。

作田:僕はTOWNCRAFTのシャドーチェックのシャツも持っていきます。学生の頃に憧れていたものを、今は自分が売る側になったというのも少し感慨深くて。517™に合わせてもいいし、当時(60〜70年代)っぽくコテコテに着てもいい。どちらかに正解を決めず、着方の振り幅を見せたいです。

古着を並べて、その先でつながる。

ーGOOD THINGはこれまでもYGMに参加していますが、今回は少し違う形です。

中江:以前はロゴを使ったTシャツやスウェットなど、ショップのオリジナルアイテムを持っていきました。今回はINCVNも始まったので、古着を中心に見せる形になります。

ー今回のフリーマーケットには、大切にしてきたものを次の人へつなぐ、というテーマもあります。

作田:僕らも、いわゆるレギュラーだけじゃなく、中江さんが選ぶデザイン性のある古着や、ヴィンテージ、ラグジュアリーブランドの古着まで持っていけたらと思っています。一口に古着と言っても、いろんな角度があります。それがひとつのラックに並ぶのは面白いですよね。

中江:私物も少し出したいと思っています。セットアップやワンピースとか。作田くんが選んだものと、私が選んだものが同じ場所に並んだ時にどう見えるのか、私自身もまだ分からないので楽しみです。

ー古着だけでなく、GOOD THINGのオリジナルプロダクトも含めて見せられると、店全体の空気も伝わりそうですね。

作田:そうですね。GOOD THINGが古着屋だけに見えるのも違うので。「Daily Standard」という考え方も含めて、僕らが普段見せている世界を持っていけたらと思います。

ーお二人にとって、京都・岡崎公園でのYGMは初めてですか?

中江:私は初めてです。以前参加したスタッフから「すごく楽しかった」と聞いていて、京都の会場の話もずっと聞いていたので、念願という感じです。

作田:僕も初めてです。知り合いも出店しているので、すごく楽しみにしています。

ーGOOD THING自体、人が集まり、そこから別のつながりが生まれる場所でもあります。YGMでも似たことが起こりそうですね。

中江:そうなったら面白いですね!

作田:服を売るだけじゃなくて、そこで誰かと知り合ったり、次の何かにつながったり。GOOD THINGで普段起きていることの延長みたいになるよう全力で楽しみます。

Photo:Shinsaku Yasujima
Text & Edit:Jun Nakada