レジンと植物で独自の感性を表現。
比類なきアートを生み出すdugudagii。

ART

レジンを使ったアートプロダクツを製作するdugudagii(ドゥグダギ)。透明な造形の中に植物を配したデザインが唯一無二の存在感を放ち、その独創性は美しくも毒をはらむ。作品はすべて一点一点ハンドメイドで丁寧に仕上げられ、その中でも特にスカルやスケートボードのモチーフが人気。それは彼のバックボーンにあるようだ。このオリジナリティに溢れたプロダクツの魅力を深掘りするべくdugudagiiのアトリエを訪問した。

他の人と違う表現方法を求めて
デザインを透明な樹脂で立体化

dugudagiiが現在のスタイルを確立する以前は、ドローイングアートが中心で、カリフォルニアのスケートボードカンパニー、Consolidated Skateboardsへとデザインを提供するなどの確かなキャリアを持っている。
「子どもの頃からスケボーが好きで、絵を描いているからには、デッキをデザインしたいと思うのは当然のこと。それでConsolidated Skateboardsというスケートブランドが好きだったので、画集を送ってみたら反応があって、僕の絵がデッキのグラフィックになりました。ひとつの夢が叶ったので、次はどうしようかなと考えているうちに、自分の絵を立体化させるという発想に辿り着きました」

こうして、他のアーティストとは違うアプローチをするために樹脂を使い、自分のデザインを3D化させることに。
「最初は、ただ白く固まる樹脂を使っていました。それはそれでおもしろみはあったけど、それ以上にならなかった。もっと深みがあるニュアンスの立体物を作るためにはどうしたらいいのか試行錯誤しました。それで、透明の樹脂を使うと表現の幅が広がると思いついたんです」

自分らしさを感じる
植物の醜悪な一面

dugudagiiのアートピースに欠かせない草花。それを使うのは花や草木の美しさだけが理由ではなく、dugudagiiならではの観点があり、それが個性となる。
「植物を使う意味は、人間や動物の構造と共通する部分があると感じたから。葉っぱの脈とか花びらの筋が血管や筋肉に見えるし、性器っぽく見える部分があって、その肉々しさが人間の縮図のように感じました。それを使えば、気持ち悪くておもしろいものを作れると思ったのが植物を使っている理由です」

その植物に醜悪を感じた部分は、dugudagiiが変わらずに作品で表現している本質のようだ。
「もともと絵でも、そういう気持ち悪さを表現したものばかり描いていました。具体的な人の顔や風景ではなく、自分が想像した世の中にないものを追求していて。そういった自分のデザインを立体化しているだけなので、それの延長として作っている感覚です」

カルチャーという共通言語は
インスピレーション源ではない

そんなオリジナリティを追求するdugudagiiだが、デザインのインスピレーションはどこから湧いてくるのだろうか。
「スケボーが好きだし、音楽はハードコアやメタルが好き。でも、そういった生活に絡んだ遊びの経験は同年代の人たちとほぼ変わらないと思うんですよ。そこから感銘を受けたものがあったかと言うと、大真面目に言えばあんまりないかもしれません。そういうカルチャーはみんなの共通言語なので、それを借りて自分なりの表現をしているということです。だから、カルチャー自体からインスピレーションを受けている訳ではないし、これといった具体的なインスピレーション源を挙げるのは難しいんですよね」

新たな発想が生まれた
SEE SEEとのコラボ

dugudagiiとSEE SEEのディレクター湯本さんは、SEE SEEを立ち上げる以前からの繋がりを持つ。
「SEE SEEのプロダクトは、いい意味でひと癖もふた癖もあるからおもしろいと思います。ヒロくん(湯本さん)とは同じ世代だから共通言語があって、世間話の流れでアイディアを共有することもあります」

dugudagiiとSEE SEEは、スケートボードデッキをモチーフにした一輪挿しや、招き猫のオブジェなど、レジンを使ったコラボレーション作品を送り出してきた。そのクロスオーバーを通じて、こんなことを感じているようだ。
「ヒロくんの発想は、僕のニッチな方向性とは違うんですよ(笑)。だからSEE SEEとはいいバランス関係かもしれない。いい感じでフィットするんですよね。適当なことを言い合って、仕事は真面目にやる。共通言語が一緒だからこそ、適当なことを言い合っても何が言いたいかが分かってやりやすいです」

そしてYES GOOD MARKETに毎回参加しているdugudagii。このイベントにこんな印象を受けているようだ。
「YES GOOD MARKETは、いろんなアーティストやショップが参加しているし、来場者が多くて、マーケットとしてしっかり確立していますよね。今年から会場が変わって再出発になりますが、いろんなコンテンツを準備しているみたいなので、次のステップに上がったマーケットに感じていて楽しみです」

PHOTO/DAIKI KATSUMATA TEXT/SHOGO KOMATSU