ないなら、つくる。BUILT NOT BOUGHTのものづくり。

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「欲しい服が見つからないなら、自分たちでつくればいい」。山本めぐみ、黒野智也、上野雄一の3人が始めたプロジェクト「BUILT NOT BOUGHT」は、そんな素朴な会話から生まれた。目的は明快。私物のヴィンテージアイテムをソースに、3人がいま着たいものを生み出すこと。気ままに集まって、欲しいものが見つかれば徹底的にこだわってつくる。プロジェクトの在り方を“部活”と例えるその全貌と、初出店となるYES GOOD MARKET(以下、YGM)への意気込みを聞いた。

BUILT NOT BOUGHT
山本めぐみ(中)、黒野智也(左)、上野雄一(右)の3人によるプロジェクト。2025年、「ないならつくる」を合言葉に始動。山本は東京・表参道の古着店「Swell Vintage」を営み、プロジェクトではディレクションを担当。黒野は企画から撮影、販売までをつなぎ、上野は自身が代表を務める会社で生産を担う。ベスト、スウェット、キャップ、Tシャツ、パンツなどを不定期に制作し、イベントを中心に販売している。
https://www.instagram.com/builtnotbought_2025/

欲しいベストがない。じゃあ、つくろう。

ーBUILT NOT BOUGHTは、3人で食事をしたところから始まったそうですね。

山本:上野くんとは、以前、とあるブランドとコラボレーションした時に知り合いました。その後しばらく間が空いたんですけど、ひょんなことからまたつながって。黒野くんと上野くんも仕事でつながっていたので、「じゃあ、みんなでご飯に行こう」となりました。そこで「何か一緒につくりたいよね」「楽しいことをしたいよね」と話していた時に、私が「こういうベストを持っているんだけど、つくれるかな?」と言ったんです。そうしたら二人が「それ、やっちゃいましょうよ!」と。本当に、そのくらいのノリで始めました。

ー元になったのは、どんなベストですか?

山本:下北沢の古着屋さんで買った、ガンクラブのベストです。射撃の時にクラブの会員が着るようなもので、背中にはゼッケンのような布が付いていて、アメリカのどこかのクラブ名が書いてありました。このありそうで、なかなかない形が面白くて。最初のベストは、その私物をベースにつくりました。背中のゼッケンは付けず、もっとシンプルにしています。

黒野:ポケットもなくて、機能がたくさんある服ではないので、ジャケットの上に重ねてもいいし、夏はTシャツの上に着るだけで雰囲気が出る。オールシーズン使える、アクセサリー感覚の服が面白いと思いました。

ー3人の役割は、自然に決まったのでしょうか。

山本:私が「こういうものが欲しい」と言って、二人を巻き込む感じです。黒野くんが「この枚数なら、このくらいの価格になる」といったことを考えて、撮影までやってくれる。上野くんが、それを実際の形にしてくれます。私はただ言っているだけ(笑)。

黒野:めぐさんがディレクションして、僕は企画から販売までの間をつなぐ役割ですね。途中、めぐさん自身もすごく悩むし、「こう言ったけど、やっぱり違う」となれば、僕らもすぐ変えます。でも、最終的に上がってきたものは、毎回ちゃんと自信を持って自分たちが着たいと思えるものになっている。だからこそ、めぐさんには絶対的な信頼がありますね。

上野:僕は二人のアイデアを生産に落とし込む裏方です。めぐさんは「こっちの色」「この生地感」と選ぶ感覚が鋭く、僕にはないものなので、あまり意見を出さずに任せています。結果的にいいものが上がってくると思っているので。

ー最初のベストだけで終わらず、次のアイテムへ続いたのはなぜですか?

山本:部活だから?(笑)。

黒野:確かに(笑)。文化祭に向けて動く感じが、ずっと続いているような。イベントがあるから、それに向けて考える。追われている部分もあるんですけど、楽しいから頑張るか、というくらいの雰囲気です。

上野:何もなければ、少し間が空いて「もういいか」となるかもしれない。でも、「そういえば、次のイベント決まってたよね。やばい、何か考えなきゃ!」となる。それが続いている理由だと思います。

ーBUILT NOT BOUGHTという名前は、どこから?

山本:もともとは、アメリカのホットロッドやガレージカルチャーの中で広まったスローガンみたいです。出来上がったものを買うのではなく、自分でつくる。それが私たちの「ないならつくる」に合っていると思って、この名前にしました。

ヴィンテージは、そのままつくらない。

ーベストの後は、スウェットやキャップ、Tシャツ、パンツなど、少しずつアイテムが増えています。共通するつくり方はありますか?

黒野:元ネタがあっても、そのまま形にしないことですね。「SAY YES」のスウェットも、僕のYouTubeでSwell Vintageを紹介した時、店にあった真っ赤なヴィンテージスウェットから始まりました。「僕らの世代っぽいよね」と話しているうちに、「これをBUILT NOT BOUGHTでやろう」となったんです。

ーそこから、何を変えたのでしょう?

上野:ゼロからパターンを起こすものもあれば、既存のボディを使い、加工で表情を変えるものもあります。洗いや加工を入れて、最初からヴィンテージのように見える仕上げにすることも多いですね。

ー女性である山本さんの私物が起点でも、男性にも選ばれているそうですね。

黒野:おかげさまで好評いただいてます。めぐさんが好きなものは、アイテムとしてはメンズっぽいものが多いんです。めぐさんが着ているものを僕も着たいと思うし、僕が着ているものを見て、めぐさんが「それ何?」と反応することもある。男性も女性も同じように提案できている。そこも面白いところですよね。

CROPPED CHAMBRAY JACKET ¥24,000 +tax
REBUILT PATCHWORK JACKET ¥26,000+tax
COMPACT LEATHER TOTE ¥36,000+tax

ーYGMに向けても、山本さんの私物から新しいジャケットをつくっているとか。

山本:ショート丈のジャケットですね。私は普通に着ていたんですけど、二人が「そういうのが欲しいです」とすごく食いついてくれて。元はチェック柄だったので、3人で生地を話し合って、シャンブレーにしたらかわいいんじゃないか、となりました。同じ形で、ネルシャツの生地を使ったものも進めています。

黒野:フルボタンで、トラッカージャケットやGジャンに近い形です。ただ、ボタンは一般的なGジャンより小さく、生地も薄いので、シャツのようにも見える。シャンブレーはシャツに使うことが多い素材ですけど、それをジャケットにする。服が好きだからこその会話を重ねて、形になっています。

次は、いざ京都・岡崎公園へ。

ーYGMへの参加は、どんな縁で決まったのでしょう?

山本:アーバンリサーチ村手さんと共通の知り合いがいて、その方の展示会で初めて会いました。以前、静岡でYGMを開催していた時にも声をかけていただいたんですけど、私が直前に参加できなくなってしまって。「また、いつか」と話していたのが、今回につながりました。

ーYGMには、どんな印象を持っていますか?

山本:私が普段出ているイベントとは、少し景色が違うというか。クリエイター色が強い、いいイベントというイメージです。私自身、京都には、蚤の市(場所が同じ岡崎公園)だったり、Swell Vintageのイベントだったり、年に何度か行っていて。それこそ、昔住んでいたこともあるので、何かと縁のある街ですね。

黒野:めちゃくちゃ盛り上がるイベントだという話は聞いていました。まだ行ったことはないので、規模感も含めて楽しみです。

上野:僕は裏方の人間なので、正直に言うと、今回初めて知りました。でも、話を聞いているだけでも、行きたいと思えるイベントですね。

ーYGMの2日間も、3人そろって店頭に立つ予定ですか?

三人:はい。3人で、わちゃわちゃしています(笑)。

上野:僕は普段、お客さんと話す機会がほとんどありません。だから店頭に立つのは新鮮で、楽しみです。自分がつくったものを見て「かわいい」と言ってもらえると、めちゃくちゃ嬉しいですしね。

山本:これまでは、知り合いのショールームのような場所を借りてやっていて、BUILT NOT BOUGHTのアイテムだけではなく、Swell Vintageの古着やフリーマーケットの商品を並べたり、買ってもらったものに私がイラストや文字を書き足したりした回もありました。なので、YGMでも同じように盛り上げられたらと思っています。接客については、黒野くんが上手なので心配してないです(笑)。

黒野:自覚はないですけどね(笑)。いつもめぐさんファンの方(女性)を中心に、僕のことを知ってくださっている男性や、YouTubeを見て来てくださる方もいます。YGMでは、さらにいろいろな方々に見てもらえると嬉しいですね。全力で楽しみます!

Photo:Shinsaku Yasujima
Edit & Text:Jun Nakada