好きなアイテムとセレクトから紐解く、1LDKディレクター三好 良の審美眼。

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“日常の中の非日常”をテーマに、洗練されたスタンダードアイテムを取り扱うセレクトショップ、1LDK。東京・中目黒を拠点に日本各地から世界にまで展開するほど高い人気を誇っている。そのディレクターとしてファッションラバーたちから厚い信頼を得ているのが三好 良さんだ。昨年11月には、新たな業態としてセレクトショップとホステルを融合させたSO NAKAMEGURO SHOP & HOSTELのオープンを手掛け、ストアゼネラルマネージャーとしても活躍。そんな三好さんが持つ確かな審美眼を探るため、彼が手掛けたSO NAKAMEGUROや偏愛するアイテムについて語ってもらった。

コミュニケーションの場所として誕生した
SO NAKAMEGURO SHOP & HOSTEL

専門学校卒業後、原宿の名店として知られるインディーペンデント・レコードショップ、〈BIG LOVE RECORDS〉で働いていたという三好さん。その後、22歳から1LDKで働きはじめ、数年前からディレクターとなった。10年以上1LDKに携わる中で、特に感慨深かったと話すのが、昨年オープンしたSO NAKAMEGUROの立ち上げだそうだ。
「お客さんとコミュニケーションを取れる場所を作りたかったんです。1LDKはオープンから10年以上経っているので、ありがたいことに徐々にいろんな人に知ってもらって、たくさんのお客さんに来てもらえるようになりました。でも、僕が青山の1LDKに一人で立っていた頃は、もっとゆっくりしていたというか……。今は今でいろんな可能性を秘めた場所に発展しましたけれど、それを巻き戻したいという気持ちがありました」

「僕は群馬出身なんですけど、地元のショップに通ってお店の人にさまざまなことを教えてもらった経験がありますが、それはみんな同じだと考えています。でも、東京だとそれが難しい時代になってきていて、そこに歯がゆさを感じていました」

こうして誕生したのが、SO NAKAMEGURO。お客さんとスタッフがコミュニケーションを取りやすいように考えられた場所だ。1階がセレクトショップ、1.5階から3階までの3フロアがホステルとなっている。民家をフルリノベーションしただけあって、レトロとモダンが調和したインテリアが心地いい。


「お店にいるスタッフとお店に来るお客さん、そして利用者が、共有部分ですれ違ったりするだけでコミュニケーションが生まれると思いまして。そういう偶発的な出会いって、いくらSNSやネットが発達した環境でも味わえないことだと思います。1.5階のキッチンから利用者が店内を覗いていたとしたら、きっとお客さんはスタッフに『何であそこに人がいるんですか?』って質問をすると思うんですよ。そこからコミュニケーションが生まれて、モノだけじゃないことを感じてもらいたいんです。今後は、ポップアップなどのイベントをもっと頻繁に開催したいですね」

SO NAKAMEGUROにはコンセプトを設けていない。なぜなら、それに縛られることなく自由にセレクトができるから。ニュージーランドやルーマニアのブランド、アメリカのスーベニア、国内の気鋭ブランド。実に自由なセレクトがこの場所の魅力だ。

歳を重ねようとも
変わらず愛するアイテム

そんなSO NAKAMEGUROを生み出した発想力と、セレクトにおける目利きの良さで業界内からの評価が高い三好さん。昔からずっと変わらずに好きなアイテムは、RALPH LAURENのシャツだという。
「王道中の王道だから好きです。親父もRALPH LAURENが好きだったから昔から馴染みがあるブランドで、自然と好きになりました。オーセンティックなアイテムが好きなんです。靴だったら、Clarksのデザートブーツが好きで、昔からずっと履き続けています。不変的なものだからこそトレンドに左右されずに、ずっと着続けることができます。昔から変わらずにスタンダードなアイテムが好きだけど、なんでこんなものを作ったんだろう? っていうような変わったデザインやシルエットのものも好きですけどね」

三好さんの食指が動いた
最近気になっているアイテム

次にピックアップしてくれたのは、NOWHAWのパジャマ。パジャマブランドとして設立し、快適な着心地とファッション性を見事に両立させ、絶大な人気を獲得している。三好さんは昨年からこのパジャマを着始めて、最近気になっているブランドなんだとか。
「今まではスウェットの寝間着だったんですけど、スタイリスト山本康一郎さんが手掛けるブランド、スタイリスト私物がNOWHAWとコラボレートしたのをきっかけに着るようになりました。今までパジャマらしいパジャマって来たことありませんでしたが、すごく着心地が良かったし、ちゃんとしたパジャマを着ていると気分がいいですね。もう一着欲しくなって、インラインのブラックウォッチも買いました」

独自の観点で選んだ
収集しているアイテム

そして、収集しているアイテムとして紹介してくれたのが、NIKE SPORTSWEARのGRAND STAND Ⅱ。1992年に登場した名作テニスシューズで、一昨年に復刻を果たしたモデルだ。
「白いスニーカーが好きなんです。タンのロゴとインソールのピンクがエロくていいですよね(笑)。10足以上ストックしていますが、ここまで集めると一種の病気(笑)。別に他の人と被りたくないっていう訳ではないんですけど、あまり人気がないところがいい。ナイキに連絡して全部買い占めようと思ったくらい好きです(笑)。でも、もうアウトレットにも売っていないみたいで、少し焦っていたところ、インスタグラムで僕のことをフォローしてくれている岐阜の人が地元で売っているという情報を教えてくれました。かなり仕事ができる人で、サイズ別の在庫数まで教えてくれました。それで、お金を振り込んだら買って送ってくれたんですよ。本当に嬉しかったです!」

ここでしか買えないものを中心に
三好さんの気分を反映したセレクト

普段から着用しているアイテムをご紹介してもらったが、SO NAKAMEGUROのセレクトはどのようにして選んでいるのだろうか。
「SO NAKAMEGUROでバイイングするものは、1LDKと比べると少し外れていて、僕のパーソナルな部分が反映されています。ここでしか買えないブランドや別注アイテムなど、少しスペシャルなものをセレクトしているのが特徴。セレクトが偏っているのでパーカしか売っていないなんてことがあるかもしれないですけどね(笑)。SO NAKAMEGUROのラインナップをみてもらえれば、今の僕の気分を感じ取ってもらえるかもしれないです」

そんなSO NAKAMEGUROもSEE SEEのアイテムを販売している。SEE SEEも先述したように、エクスクルーシブアイテムを展開しているのが特徴だ。
「ここをオープンする時、SEE SEEのSO NAKAMEGURO限定アイテムとしてスリッパを提案してくれたし、別注カラーのカーディガンを作ってもらいました。YES GOOD MARKETは昨年12月に初めて参加しましたが、いい意味でのんびりとした空気が流れていていいなと思いました。静岡は、人が良くて温かい印象がありますしね。今年も楽しみです」

information

SO NAKAMEGURO SHOP & HOSTEL
住所:東京都目黒区青葉台1-6-52
営業時間:13:00〜20:00
定休日:不定休

PHOTO:RYO KUZUMA TEXT:SHOGO KOMATSU