素材から仕立てにまでこだわり抜く
LA発のレザーブランドMADE SOLID。

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ロサンゼルス発のレザークラフトブランド、MADE SOLID。こだわりの皮革と製法によって1点1点ハンドメイドで作られたアクセサリーは、感度の高いファッション好きから厚い支持を集め、国をまたいで着実に知名度を獲得している。このブランドを手掛けているのは、カリフォルニア出身のMAXさんとパートナーのMIAさんの2人。そんなこだわりが詰め込まれたプロダクツをより深く知るため、来日していたMIAさんにMADE SOLIDの魅力を語ってもらった。

LAと日本の感性が宿る
レザークラフトブランド

現在MADE SOLIDを手掛けるMIAさんは、2000年にロサンゼルスへと移住したという。
「地元の熊本で仕事を探していたら古着屋で募集しているのを見つけたんですよ。アメリカのヴィンテージウェアが好きだったから面接をしてみたら、『アメリカに行きたい?』って聞かれて、『じゃあ行きます』と。それで古着屋のバイヤーとしてロサンゼルスに引っ越しました」。

ロサンゼルスでの生活を送る中で出会ったのが、DJやフォトグラファーとして活動する多才なMAXさん。
「MAXは多趣味だから、レザークラフトを趣味の範囲でやっていたんですよ。それがあまりにも高いクオリティだったので、せっかく作っているならどこかで取り扱ってもらうことを提案しました。そして5年前、カリフォルニアにライフスタイルブランドだけを取り扱う大型のショップがあって、そこに持ち込んだら気に入ってもらえて販売してもらえるようになり、ブランドとして本格的に始動しました」。

「MADE SOLIDはレザーを使ったプロダクツを展開していて、小物から椅子、サイドテーブルまでを作っています。あと、インテリアデザイナーと共同で手掛けているプロジェクトがあって、デザイナーが作った空間にレザーのプロダクトを配したり、レザーを使った花瓶を置いてもらったりして、レザーがある空間演出もおこなっています」。

厳選された革と
時間を掛けた製法

MADE SOLIDのプロダクツは、使用するレザーの種類に強くこだわりを持っているそうだ。
「古くから伝わる伝統的なベジタブルタンニンレザーだけを使っています。日本と同じようにアメリカでも皮なめし工場が徐々に減っていますが、ミズーリ州にある1881年創業の老舗、Hermann Oak社のレザーを使っています。REDWINGもHermann Oak社のレザーを使用して革製品を作っているほど品質が高いんですよ。その皮革は、放牧して育てられた食肉用の牛の皮を使っているので無駄がなく、ちゃんと世話が行き届いているのでベジタブルタンニンレザーの中で最高レベルの品質。ベジタブルタンニンレザー自体はたくさんの種類がありますが、Hermann Oak社製を使っているブランドは少ないはず。触ってみれば質の違いがはっきりと分かるくらい、いい革なんですよ」。

もちろん、MADE SOLIDのこだわりは素材だけではない。形成や縫製もひとつひとつ手作業で時間を掛けて仕上げている。
「一度レザーを濡らしてフォルムを形成するウェットモールディングという製法を採用していて、すべて手作業でシェイプさせています。いい環境で育った牛革なので、繊維質が詰まっているから型崩れしないのが特徴です。そして仕立ても手作業で、乗馬具で採用されているサドルステッチという頑丈な縫製技術を用いています」。

ナチュラルなカラーのヌメ革を使ったラインナップもMADE SOLIDの特徴だ。それもブランドならではのこだわりの証。
「化学染料は使わず、いわば革が裸の状態。人間だったら、今日はどんな服を着よう、どんな靴を履こうって自分で身なりの個性を味付けできるじゃないですか。そのように、使っていくうちに自分の生活に馴染んで、革にライフスタイルが反映されるんです。最初は同じ色味でも、使う人のライフスタイルによって違った経年変化となるので、それを楽しんでもらいたいです。私たちがプロダクツを完成させるのではなく、使う人に馴染んではじめて完成するものだと考えています」。

そのMADE SOLIDのプロダクツに、hi-dutchさんや花井祐介さんなどのアーティストがペイントしてコラボレーションを果たしたことも。
「MAXと花井さんは、10年くらい前に出会っていてコラボレーションに至りました。自分たちのレザーアイテムに、アーティストの方々がペイントするとまた違った印象になって、新鮮味が生まれました」。

レザーの質感や仕上がりを
手に取って感じてもらいたい

そんなMADE SOLIDのアイテムはYES GOOD MARKETに出品される。
「MADE SOLIDのアイテムはウェブで購入できますが、実際に手に取ってもらってレザーの質感や仕上がりを感じてもらいたいです。それで気に入っていただけたら自分らしい経年変化を楽しんでほしいです」。

伝統工芸をモダナイズしたSEE SEEのプロダクトは、同じクラフトマンであるMADE SOLIDの2人もお気に入り。
「カリフォルニアに工房兼ショップがあって、木工細工だったり藍染めの製品だったり、日常で使える日本の伝統工芸品も販売しているんですよ。ロサンゼルスの土地柄、クラフトマンシップを感じるプロダクツが人気なんです。日本のモノ作りや精神性は、私たち日本人からすると当たり前のことですが、ロサンゼルスの人たちからすればそれもアートに感じるようです。だから、私たちと同じようにSEE SEEのプロダクツはロサンゼルスの人たちにも気に入ってもらえると思います」。

PHOTO/RYO KUZUMA TEXT/SHOGO KOMATSU