作家との蜜月を築き上げるGALLERY TARGET。

ART

近年アートの市場規模は右肩上がりのように感じる。世界を股にかけて活躍する日本のアーティストが増え、ファッションにおいても海外のメゾンブランドからインディペンデントブランドまでが、これまで以上にアーティストとのジョイントワークを展開している。そんな活況となったアートシーンを東京で長らく支えているのが、原宿にあるGALLERY TARGET。国内はもちろんのこと、海外アーティストの展示も行われて話題となった貴重なギャラリーだ。改めて、代表を務める水野さんに設立の経緯から今年のYES GOOD MARKETについてまで話を伺った。

人との繋がりを大事にする
枠にとらわれないギャラリー

「GALLERY TARGET がオープンしたのは2007年のこと。それまではアートに携わる仕事をしていた訳でなく、サラリーマンを11年くらいやっていました」
そう話すのは代表の水野桂一さん。いわゆる脱サラをしてGALLERY TARGETを設立したが、意気込んで出発した訳ではないそうだ。

「サラリーマンとして働いている時からアートを買うのが好きで、特にAndy Warholの作品を収集していました。バブルが崩壊して値段が下がっていたので、90年代後半から2000年代初頭までは割と手頃な価格だったんですよ。その後はまた高騰していくので、ちょうどタイミングが良かった時期。小さい作品が多いんですけど、20点ほど手に入れました。それらを飾っては販売する場所が欲しくなって、この場所を借りたという安易な考えからこの場所がスタートしました(笑)。だから、画廊が展覧会を開催するとか、作家を所属させるとか、なにも知らない状態から始めたんですよね」

「でも、余計な基礎知識がない分、アートのシーンを俯瞰して見ることができていると思います。良くも悪くも分かっていない部分が多いので(笑)。それがあるから、逆に、こうじゃなきゃいけないってルールに縛られていないのが、うちの強みになっているのかもしれないです。ギャラリーをやっていてよかったことは、いろんな人に会えること。サラリーマンだけやっていたら、出会う人に偏りがあったと思いますが、ここを運営しているとアートを通じて様々な方々と知り合える。基本的に自分がいいと思った作家の展示をやるので、その価値観を共有できるのが嬉しいですよね。なにより、好きなことを仕事にできているということが一番です」

なにも分かっていないと水野さんは話すものの、10年以上も原宿で続けることは簡単なことではない。その長いキャリアの中で印象に残っている展覧会は?
「思い返すとここ数年、いろんな動きがありましたね。2016年に開催したLarry Clarkの時は本当にたくさんの方々にいらっしゃっていただきました。あとは3年前に開催されたKYNEくんのソロエキシビション。潮目が変わったって言ったら大袈裟かもしれないけど、新しい作家が出てきたなって印象を強く受けた覚えがあります。最近は作品を買う若い人が増えたし、アートに興味を持つ人も増えたように感じています。いい流れになってきているんじゃないかと。日本人の面白い作家がどんどん出てきているし、さらに画廊も増えているという話も聞きますし」

GALLERY TARGETには
YGMと所縁のある作家が多数所属

そんな水野さんがSEE SEEとリンクしたのは、GALLERY TARGET に所属しているhi-dutchさんが個展を開催した昨年のこと。そして前回のYES GOOD MARKETにはhi-dutchさんの他にも、GALLERY TARGETに所属する作家が数多く参加していた。それは、昨年のメインビジュアルを手がけたLyさんや花井祐介さん、dugudagiiさん、高木耕一郎さん。水野さんも昨年、YES GOOD MARKETに足を運んでいたとのこと。
「昨年のYES GOOD MARKETには、うちに所属している作家がたくさん参加していましたので、今年はGALLERY TARGETとして出品させていただくにあたり、昨年とラインナップが被らないように、以前企画したグループ展に参加してもらった漫画家兼アーティストのCONIXに協力してもらうことに。KYNEくんを代表する女の子をCONIXのタッチで仕上げた作品をエディションする予定です」

今まで、アート作品を購入したことがないという人も多いはず。しかし水野さんはこう話す。
「アート作品を買うというのは、ハードルを高く感じる人もいるかもしれませんが、気に入ったTシャツを買うのと一緒なんです。ただ、買い慣れるってことが大事だと思っていて、所有する喜びを感じられたら買うことに慣れてくるはず。まずはアートを身近なものとして、気軽に買ってみるのがいいと思います。今回はCONIXのシルクスクリーン作品を販売させてもらいますので、それを入り口としてアートに興味を持ってもらい、いろんなギャラリーに足を運んでくれる人が増えたら嬉しいです。YES GOOD MARKETは色がしっかりと出ていると思うので、他の作家の作品と合わせて、その世界観を楽しんでいただきたい。そして、実は今、別件でSEE SEEと一緒に動いています。そちらもいずれ発表できると思うので、楽しみにしていてください」

information
GALLERY TARGET
住所:東京都渋谷区神宮前2-32-10
電話番号:03-3402-4575