アーバンリサーチ村手謙介が語る、YGM大阪初開催への想い。

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アートやファッション、フードなど多彩なカルチャーが交差するイベント「YES GOOD MARKET(以下、YGM)」が、2025年、ついに大阪に初上陸する。幅広いカルチャー好きから注目を集めるこのイベントに、アーバンリサーチのクリエイティブディレクターとして運営に携わる村手さんは何を思うのか。大阪開催にかける想いやその経緯、見据える先について聞いた。

村手謙介
むらて・けんすけ。アーバンリサーチのクリエイティブディレクター兼バイヤー統括、URBS(URBAN RESEARCH BUYERS SELECT)ディレクター。1979年生まれ。学生の頃からアーバンリサーチに勤務し、店長を経て現職。厳選された逸品の一品を集めるという、セレクトショップの原点回帰をコンセプトに掲げる「URBS」は幅広い層から支持を集める。

YGMは唯一無二の存在。

ーまず、YGMにアーバンリサーチが運営サポートとして関わることになった経緯を教えてください。また、村手さんご自身はこのイベントをどのように捉えていますか?

会社としてYGMへ参加したのは、2020年のオンライン開催が最初でした。フィジカルな場ではなかったので、「アイテムが売れるんだろうか?」と正直不安もあったんです。でもリリース開始と同時に商品があっという間に完売して、YGMの人気っぷりを思い知らされました。以来、回を重ねるごとに来場者の期待もどんどん高まっていく一方で、運営メンバーは少人数で手が回らない部分も多かったそうです。そこで主催者の湯本さんから「サポートに入ってほしい」と声がかかり、2023年から僕らアーバンリサーチが運営にサポートで入ることになりました。

僕自身、YGMは従来の都市型イベントとは一味違う、唯一無二の存在だと思っています。面白いブランドやショップがこれだけ集まるマーケットイベントは他になかなかないですし、出店者もお客さんも含めてみんなで盛り上げていくような温かい空気感が魅力なんです。

ー実際に運営に携わってみて、村手さんにとってYGMはどのような存在になっていますか?

ひと言で言うと、めちゃくちゃ大変です(笑)。でも、そのぶん大きなやりがいを感じているのも事実。個人的には、YGMは自分のこれまでの仕事の集大成だと思っていて、長年培ってきたバイイングやディレクションの経験から、店頭でお客様と接客する楽しさまで、すべてをこのイベントで活かせる。出店者さんを集めていろんな仕掛けを考え、イベント当日にたくさんのお客様が喜んでいる姿を見る。今までやってきたことを一度に全部味わえる感覚がありますね。

大阪開催までの道のり。

ー2025年のYGMは、いよいよ大阪で初開催されます。もともと京都での開催も検討されていたと伺いましたが、最終的に「グラングリーン大阪 うめきた公園」を会場に選んだ経緯を教えてください。

実は当初、京都・岡崎公園で12月に開催するプランを進めていたんです。しかし、京都市のイベント運用ルールの変更や、猛暑期を避けて秋以降にイベントを開催する動きが重なり、秋から冬にかけてのスケジュールはどこも埋まってしまっていました。岡崎公園も希望日程を押さえられず、もう会場を大阪で探すしかなかったんです。そこで問い合わせたところ、ピンポイントで空いていたのが大阪駅前の「グラングリーン大阪 うめきた公園」でした。ちょうど10月中旬の2日間が確保できるということで、一気に大阪開催へ舵を切りました。

ー会場となるうめきた公園は、大阪駅直結の新しい街区ですよね。昨年の京都・岡崎公園での開催とは、ロケーションの雰囲気もだいぶ異なるのではないでしょうか?

はい。京都の岡崎公園は最寄り駅から距離があって、YGMを目当てに来るお客さんが多く足を運ぶような形でした。一方、大阪のうめきた公園はJR大阪駅に直結した都心のど真ん中です。周辺には最新の商業施設が立ち並び、週末ともなると歩けないほどの人出で賑わうエリアなんですよ。実際、2024年に開業したグラングリーン大阪には有名ブランドの大型店も続々とオープンしています。そんな立地なので、YGM目当ての方以外にも「何かイベントをやってるから行ってみよう!」とふらり立ち寄る人が多そうですよね。そのぶん昨年の京都とはまた違った盛り上がりや表情が生まれるんじゃないかと期待しています。それに、会場には大屋根付きのイベントスペースがあるので、雨天の心配が少ないのも準備する側としてはありがたいです。

ー開催時期が当初の予定より約2ヶ月早まりましたが、準備の進捗はいかがでしょうか?

正直、まだ決まっていないことだらけです(苦笑)。現時点(7月下旬)では会場の下見にも行けていなくて……。キービジュアルや一部コラボ企画は進んでいますが、細かいコンテンツはこれから詰めていく段階。時間はかなりタイトですが、そのぶんチーム一丸でスピード感を持って臨んでいますよ。

出店者とこれから。

ー大阪開催にあたり、出店者のラインナップには何か変化がありますか? 地元関西ならではの新しい参加者など、注目ポイントがあれば教えてください。

基本的なコンセプトはこれまでと変わりませんが、今回は大阪ということで関西ゆかりの出店者さんも新たに加わる予定です。昨年の京都では初めてお声がけするショップも多かったですが、今回は僕らアーバンリサーチのスタッフや関係者の繋がりから参加をお願いしているブランドも多々あります。ただ、従来のYGMの空気感を大切にしたいので、大阪だからといって極端に路線を変えることは考えていません。むしろ新しい顔ぶれが自然と馴染んで、従来からの出店者さんともお互い刺激し合えるようなラインナップになると思います。今年初参加のブランドもいくつかありますが、僕自身がリスペクトする芯のあるブランドやショップばかりなので、ぜひ楽しみにしていてください。

ー今回でYGMは通算10回目の開催になりますが、今後どのような展開を期待しますか?

アーバンリサーチがサポートするのは今回で3回目なので、10周年に対する想いみたいなところは、主催者である湯本さんに語っていただくとして、我々は、特別に大きな花火を打ち上げるより、とにかくこれからも開催し続けていくことを大事にしたいですね。YGMの根幹にある「みんながハッピーになれる場」というコンセプトは崩さず、11回目も12回目も地道に積み重ねていければと思っています。そして機会があれば、今回の大阪のように開催地をもっと広げていきたいです。日本各地、ゆくゆくは海外でも、YGMというコミュニティが生まれていったら素敵じゃないですか。場所が変わっても参加する人たちの気持ちをつなげて、YGMがハブになって新しい出会いや何か面白いプロジェクトが生まれていく、そんな未来を期待しています。

Photo:Shinsaku Yasujima
Text & Edit:Jun Nakada