コーデックス ムーブメントの火付け役、 BOTANIZEが提案する植物と寄り添う暮らし。

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インテリアグリーンの中でも圧倒的な人気を誇る塊根植物(コーデックス)。それはアフリカや中東などが原産の多肉植物で、過酷な乾燥地帯に自生するため、幹や根に水分を蓄えて膨れ上がったフォルムが特徴だ。そのムーブメントの草分け的存在なのが、横町 健さん。彼は飲食店の内装デザインを手掛けつつ、ドッグカフェや動物病院を運営するanea designの代表である。そして、塊根植物をはじめとした多肉植物を販売するBOTANIZEを2014年にオープンし、塊根植物の人気を支える立役者。そこで今回は、改めて塊根植物の魅力を中心に話を聞いてみた。

独特なフォルムや鉢との組み合わせなど
さまざまな角度で楽しめる塊根植物の魅力

グリーンショップのBOTANIZEは代官山で1号店がスタートし、昨年の1月に、1階と2階がAnea Cafe、3階と屋上がBOTANIZEという、ビル一棟を使ったカフェ&ショップを白金にオープンさせた。ここは横町さんの理想を叶えてくれた場所である。では、そもそも彼が塊根植物に心を奪われたきっかけとは?
「父はエンジニアでしたが、週末だけ盆栽の講師をやっていて、家に植物がたくさんありました。その影響があって、父と一緒に園芸屋に行っているうちにサボテンをひとつ買ってもらい、そこから植物にハマりました。お小遣いはすべてサボテンに捧げて、部屋を埋め尽くすようなサボテン少年でしたので、子どもの頃から植物に馴染みがありました。中学生になると植物から離れてしまいましたが、6年くらい前に塊根植物を育てている人からひとつ譲ってもらったら、植物に対する熱い想いが蘇ってきちゃいました」

こうして塊根植物を買い集めるようになりインスタグラム(@aneaken)に写真をアップしていたところ、フォロワーの人たちから欲しいという声が続出。すぐさま塊根植物のウェブショップを開設し、1年後、実際に手にとって見てもらいたいという理由から代官山に実店舗を構え、さらにその1年後に白金で2店舗目をオープンさせた。
「この白金店の屋上には温室を設けていて、塊根植物を中心にアガベやサボテンを50種類くらいラインナップしています。同じ種類でも、形や大きさに個体差があって絶対に同じものが存在しません。まん丸で枝が均等に生えている正統派の綺麗な形が人気ですけど、個人的にはイビツな形ほど可愛いんですよ。一点物だから、好みの形を見つけた時の喜びや購入できた時の所有欲の満足感があります。もちろん植物なので育てる楽しみ方も。でも塊根植物は、1年で数ミリくらいしか成長しない種類もあるんです。だから、購入時からある程度完成したフォルムを楽しむというフィギュアのような感覚もあるんです」

少しずつ成長する姿を愛でたり、唯一無二の形をコレクションしたりと塊根植物の楽しみ方を教えてくれたが、植物自体ではなく、また違う視点の楽しみ方があるそうだ。
「プラスチックの鉢もいいんですが、好みの鉢に着せ替えるのも楽しみかたのひとつ。ひょろっとしたフォルムの植物なら細長い鉢に入れてみたり、丸っこいフォルムなら低い鉢に入れてみたりと植え替える楽しさがあります。表面に撒く化粧砂も白がいいのか、黒がいいのかって考えるのも楽しいですよ」


植物単体の個性を楽しむのもいいが、鉢との組み合わせでトータルのコーディネートを楽しむこともできるとのこと。BOTANIZEには、信楽焼や美濃焼など、さまざまな窯元の陶芸家が作る洗練された鉢が揃う。その中には入荷となればファンが長蛇の列を成し、10万円以上のプレミアムが付く作家の作品もあるそうだ。

植物や犬を大事に育てることによって
潤いのあるライフスタイルを送れる

「植物をひとつでも育てていると、朝起きれば、まずは気になります。犬や猫と違って、自らお腹が空いたとアクションを起こさないため、じっくりと観察することが必要。そろそろ水をあげなきゃいけないなって気をかけるようになって、生活にメリハリがつくと思います。植物には人を変える力があると思います」

こう横町さんが言うように、“植物を育てれば心に余裕が生まれる”という言葉がある。それは植物を世話する気配りから生まれるのであろう。そして横町さんは続けてこう話す。
「犬も飼っていますが、朝晩2回の散歩をするために、朝は6時に起きるので生活のリズムが良くなります。あまり、いい言い方ではないですが、植物も犬も人間次第でどうにでもなります。植物を放っておけば枯れてしまい、犬を散歩させなきゃストレスが溜まるし、ご飯をあげなきゃ痩せて死んでしまいます。自分次第で何とでもなる生き物を大事に大事に育てていくことが楽しいです」

忘れてしまいがちだが、植物も立派な生き物。犬と一緒で、生活に潤いを与えてくれる存在ということに違いない。ここは、それを再確認させてくれる場所でもある。

同じ波長を持ったお店やアーティストが揃い
ゆったりした時間が流れるYES GOOD MARKET

SEE SEEとコラボレーションアイテムを展開するBOTANIZE。コスメをモチーフにしたデザインで仕上げられたフラワーベースは女性が喜ぶこと請け合いだ。互いの信頼関係を証明するかのように、BOTANIZEは初回からYES GOOD MARKETに参加している。

「今年はBOTANIZEの他にAnea Cafeとしても出店する予定。他にもコーヒーショップが出店するそうなので、現状考えているのは、カフェラテの中にコーヒーゼリーを入れた、タピオカ感覚で飲みながら食べられるドリンクを試作中です。主催するSEE SEEのヒロさんの人柄と人脈が会場の空気に表れているし、他の出店者も同じ空気感を持っている。だから、出店しているジャンルが違えど、みんな仲良くなっちゃうのがYES GOOD MARKET。すごくメロウな空気が漂っている空間です。他のお店を目的にして来場した人も、うちのブースを覗いてくれれば気に入ってもらえると思います」

information
BOTANIZE Shirokane
住所:東京都港区白金5-13-6 3F-4F
営業時間:12:00〜19:00
定休日:水・木

PHOTO:RYO KUZUMA TEXT:SHOGO KOMATSU