
蜜月関係にあるファッションとカルチャー。音楽やアートを始め、スポーツやアウトドアなど、あらゆるものから影響を受けたエッセンスが落とし込まれたファッションは、着る人の個性や嗜好を主張して、コミュニケーションツールとしての役割も担う。2018年に設立したKEBOZが、ブランドの背景に持つのは“野球”。子供から大人までの野球好きがグッとくるプロダクトがラインナップする。
野球を軸に多様なカルチャーをMIX。
KEBOZがショップを構えるのは、浅草から程近く、町工場や問屋が立ち並んだ下町情緒溢れる蔵前。2021年にオープンし、現在は大阪・福岡・北海道・名古屋と全国に5店舗を展開する。

蔵前店がオープンした当初は、1階に居酒屋 旭一(きょくいち)、2階にKEBOZが入る複合店舗として営業していたが、昨年居酒屋 旭一が北海道へと移転。KEBOZ旭川店が居酒屋 旭一と一体となりオープンした。それに伴い蔵前店は1階もKEBOZの売り場となり、2つのフロアに充実したラインナップが並ぶ。


KEBOZのコンセプトは、“自分たちが着たい服を作る”。ブランドディレクターを務める川村健一さんは、元甲子園球児でファッションが好きだったことから、KEBOZを立ち上げた。

川村「野球を軸に、音楽や映画など、自分たちが好きなカルチャーをファッションに反映しています。そのデザインに共感してKEBOZを着ていただいている年齢層は、20代から40代まで幅広いんです。ショップスタッフは、ダンサーやラッパー、ビートメイカー、映像クリエイターなど、さまざまな活動をしているので、野球だけじゃない繋がりのお客さんにも着ていただいています」。


豊富なラインナップとコラボレーション。
幅広い年齢に支持される理由は、多彩なデザインと充実したラインナップにある。


1枚で着こなしの主役になるグラフィックものや、ディテールにこだわったシンプルなものなど、バラエティに富んだプロダクトが揃っている。ゆったりとしたシルエットが多く、快適に着られるよう素材にも抜かりない。

さらには、アクセサリーやインテリアグッズなどウエア以外も人気で、毎シーズンリリースする新作の数は膨大だ。コレクションのなかに、グローブも展開しているのがKEBOZらしい。

川村「トイグローブは、同じ蔵前にあるスポーツ用品店で作ってもらいました。蔵前にはさまざまなジャンルの職人さんや問屋が集まっているので、その繋がりで製作してもらったものも展開しています。例えばバッグも、近所で作っていただいていて。日本のもの作りの品質の良さを少しでも感じていただきたいです」。
コラボレーションは同じ地域のコミュニティから生まれたものだけではない。これまで、G-SHOCKやNew Era®️など、ファッションとスポーツの両シーンで支持されているブランドから、RawlingsやGloveworksといった実際に野球のプレイで使われているメーカーとも協業してきた。

そして、北海道日本ハムファイターズや読売ジャイアンツ、中日ドラゴンズ、福岡ソフトバンクホークスの日本プロ野球チームともコラボレーションを実現。明治神宮球場のバッティングセンターともパートナーシップを結んでいて、ファッションと野球の架け橋となっている。
野球を愛するスタンスは、プロダクトアウト以外に及ぶ。2019年にショップスタッフとショップに通う常連を交えて草野球チームKEBOZ BASEBALL CLUBを結成し、自身らも野球を楽しんでいるそうだ。

全国各地で開催するポップアップ。
KEBOZは全国各地を行脚して、ポップアップをほぼ毎日開催しているそうだ。
川村「KEBOZはセレクトショップに卸していないので、ショップが近くにない地域ではオンラインでご購入いただいています。でも、直接アイテムを見ていただきたいし、もっと多くの人にKEBOZを知ってもらいたいから、ポップアップショップで各地を回っているんです。いろんなお客さんと会えるのが楽しみなんですよ」。
そんなKEBOZがYES GOOD MARKET限定のアイテムを用意。フロントのポケットにKEBOZのブランドロゴを、袖にはYES GOOD MARKETのロゴをそれぞれ刺繍であしらい、背中にはイラストを施したTシャツを製作した。

川村「YES GOOD MARKETは以前から知っていたので、出店の声を掛けてもらえて嬉しいです。このTシャツの販売以外に、サンプルセールを開催します。まだKEBOZのアイテムを着たことがない人も気軽に手に取ってもらえたら、と思っています。ブランドと接点がなかった人と会えたり、他のブランドやショップの人たちと繋がったりできるのを楽しみにしています」。
PHOTO/SATOSHI OMURA TEXT/SHOGO KOMATSU