YES GOOD MARKETと深く繋がるモデルのパトリシオさんが、スタイリストの橋本敦さんとともに立ち上げたブランドCIRCLE CIRCLE。仕事はもとより、サーフィンやゴルフなどで一緒に過ごす時間が多い2人は、CIRCLE CIRCLEにどんな思いを込めているのだろう。その話を聞こうと連絡をしてみると、指定してくれた場所は、ブランドが始動するきっかけとなった茅ヶ崎の海岸。
アパレルブランドではなく、コミュニティブランド。
―2人が知り合ったのはいつですか?
橋本:もう20年くらい前?
パトリシオ:そうだね。最初に会ったのは、メンズノンノの撮影で行ったLAロケだったから、よく覚えている。
橋本:後から知ったんだけど、地元も近かったね。
パトリシオ:年齢は違いますが、高校が同じ学区だったり。
橋本:地元ノリもあったのか、いつの間にか自然と仲良くなっていたんですよ。沖縄で挙げた僕の結婚式にも来てくれて、いろんな節目をともにしてきました。
―そんなにお付き合いが長いんですね。CIRCLE CIRCLEの立ち上げは、どちらから誘ったんですか?
パトリシオ:コロナ禍に、敦さんがサーフィンをしに茅ヶ崎までよく来ていて。一緒に海に入って波を待ちながら、僕が「何かおもしろいことをやりたい、考えていることを形にしたい」って、ざっくりと話していたのがきっかけです。
橋本:それなら2人で一緒に何かできたらいいねって、サーフィンしながら、海から上がってご飯を食べながら、波がない日はゴルフをしながら、ぼんやりと話していました。
パトリシオ:僕はイメージが湧いてくるけど、形にするのは苦手なんです。でも、敦さんは具現化するのが上手。会話を重ねた結果、CIRCLE CIRCLEが生まれました。
橋本:コロナ禍で時間が止まっていたのもあって、話が進んだと思います。忙しい毎日を過ごしていると、何かアイディアがあってもなかなか実現しないことが多いじゃないですか。でも、コロナ禍は、話す時間も考える時間もたくさんあったのがよかった。
―CIRCLE CIRCLEには、どんなコンセプトを?
橋本:このTシャツのバックに刺繍しているメッセージは、昔からパトが好きな言葉。すごく気持ちいい言葉で、ブランドの軸になっています。
パトリシオ:Good times with good people.
橋本:僕らにとってCIRCLE CIRCLEは、アパレルブランドというより、コミュニティブランドと捉えています。ブランド名の由来は、CIRCLEとCIRCLEで、2つの輪。輪=円、“えん”を別の漢字に置き換えると、“縁”。そんな言葉遊びしている中で生まれました。
パトリシオ:会話のなかで、自然と生まれていったようなブランド名です。
橋本:茅ヶ崎へ通っているうちに、パトを通じてローカルの人たちと仲良くなって、繋がっていくのも心地よかった。それもCIRCLE CIRCLEと名付けた理由のひとつにあります。
―ロゴも2つの円で構成されていますね。
橋本:ロゴの2つの輪が、人との繋がりを表しています。シンプルなものが好きだからワンポイントで入れていて、程よい存在感のある企業ロゴのようなアイコンをイメージしてデザインしました。
―コミュニティブランドと位置付けるなら、アパレル以外の展開も考えているんですか?
パトリシオ:そうですね。CIRCLE CIRCLEを気持ちいいと思ってくれる人たちと、仲良く一緒にできることがあれば、やってみたいと思っています。
橋本:普段、パトはモデルで、僕はスタイリストとして別々の仕事をしていますが、CIRCLE CIRCLEが僕らの新しいチャンネルとして表現できたらな、と。それにおもしろさや興味を感じてもらえればいいなと思っています。YES GOOD MARKETの後もいくつかコラボやイベントを予定していますが、さまざまな業種や企業、ブランド、アーティストとコラボレーションをしたり、新しいことにもチャレンジしたりしていきたいと考えています。
コミュニティに対する共感を。
―2人ともファッションの仕事をしていますが、服作りとなると思考回路の使い方が違うのでは?
橋本:全然違います(笑)。CIRCLE CIRCLEは、シンプルな中で、どう表現するかを考えています。適当さとはまた違うユルさに落とし込むのが難しいですね。
―ニュアンスの機微を表現するのは難しいですね。どんなデザインを展開していく予定ですか?
パトリシオ:僕は気取らずに着られるシンプルな服が好きで、それは敦さんも同じ。自分たちが着るということを前提に作っています。
橋本:行きつけの飲み屋のような、自分たちが無理することなく居心地の良さを感じられる、そんな感覚をデザインで表現したいです。でも、CIRCLE CIRCLEで自分の好みや個性を色濃く反映しようとは思っていなくて。
パトリシオ:そう。CIRCLE CIRCLEは自分たちを投影したものですが、自分たちを主張するものではないんです。
橋本:例えるならコミュニティのスーベニアショップのような考え。お気に入りのお店のオリジナルTシャツのような感じで着てもらえたら。
―CIRCLE CIRCLEを作る2人に対する共感。さっきおっしゃっていた企業ロゴの感覚というのは、それに由来するんですね。
橋本:そうですね。心地いい時間を共感し合いたい、というのがCIRCLE CIRCLEの出発点だと思います。自然と波長が合うから選んでもらえる、といったブランドを目指しています。
―ある種、コミュニティのユニホームのような。
橋本:コミュニティって、共感から生まれるものですよね。それは自然体なもので、お互いに敬意を払い合えるのがコミュニティ。共感する瞬間って、いくつ年を重ねても嬉しいし、それが一瞬の接点でも気持ちいい。サーフィンにもゴルフにも、日常生活でさえも、相手を思いやって共感できる瞬間がある。それを具現化したのがCIRCLE CIRCLEです。
―確かに、共感し合うことは人生において大事なことだと思います。
橋本:僕らは派手で分かりやすい主張はあまり得意ではありませんが、CIRCLE CIRCLEのスタンスに共感してくれる人がひとりでも増えたら嬉しいし、シェアし合っていけることが理想です。
―YES GOOD MARKETでは、どんなアイテムを販売するんですか?
パトリシオ:今日着用しているキャップやTシャツを、YES GOOD MARKETで限定販売して、初めて作ったショーツを先行リリースします。ショーツはシルエットを試行錯誤してカスタムしたので、良いシルエットに仕上がりました。
―橋本さんは、YES GOOD MARKETにどんな印象をお持ちでしたか?
橋本:パトからYES GOOD MARKETの話を聞いていたので遊びに行こうと話をしていたら、オンラインの開催になってしまって。なので今回初めて会場に伺います。以前パトからヒロさん(SEE SEEディレクター/YES GOOD MARKETプロデューサー)を紹介してもらって、仲良くさせてもらっていますし、いろんな人たちと会えるのも楽しみ。
パトリシオ:ヒロさんも共感できることが多いんです。お互いに無理していないし、相談し合える。
橋本:いろんな出店者が集まるマーケット自体に参加するのも初めてなので、それも楽しみたいです。
パトリシオ:僕は何度もYES GOOD MARKETに行っていますが、出店するのは初めてなんですよ。敦さんから出店について聞かれたけど、分からなくて(笑)。自分たちのリラックスしたリズムで、いい空間を作りたいと思っています。
PHOTO/SATOSHI OMURA TEXT/SHOGO KOMATSU