
今年のYES GOOD MARKETから、セレクトショップURBAN RESEARCHが運営をサポートし、これまで以上に充実したコンテンツを用意する。そのキーマンとなるのは、URBS(URBAN RESEARCH BUYERS SELECT)のディレクターを務める村手謙介。なぜ両者はチームアップしたのか。その経緯から現在進行中の準備に関する話、さらには今後の展望までを、当人に話を聞いた。
YES GOOD MARKETにさらなる深みを。
―URBAN RESEARCHは、今年のYES GOOD MARKETで3回目の参加。YES GOOD MARKETに、どんな印象をお持ちでしたか?
村手:URBSが最初にYES GOOD MARKETへ参加したのは、2020年のオンライン。フィジカルな開催じゃないから、アイテムが売れるか若干の不安があったんですよ。でも、リリースの時間になったら、すぐに売れちゃって。驚きとともに、改めてYES GOOD MARKETの人気ぶりを実感しました。

―これまでYES GOOD MARKETにご出店いただいたブランドやショップのラインナップはいかがですか?
村手:率直な感想は、あんなに豪華なメンバーをよく集めたな、と。しかも大阪や福岡などの大都市ではない、静岡に。そして、YES GOOD MARKETのスペシャルアイテムも、さまざまなブランドやショップが作っているのも、本当にすごい。唯一無二のイベントだと思います。
―URBSは、SEE SEEとコラボレーションしていたり、S.F.C(Stripes For Creative)をセレクトしていたり、YES GOOD MARKETをプロデュースする湯本さんとご一緒する機会が多かったと思います。しかし、なぜYES GOOD MARKETの運営に携わることに?
村手:YES GOOD MARKETは回数を重ねるたびに、ご来場のみなさんからの期待値が高まっているけれど、運営するメンバーは少人数で、手が回らない部分が多かったそうです。そこで湯本さんから僕にサポートしてもらえないか、とご相談をいただきました。
―URBAN RESEARCHの、ひいては村手さんのマンパワーを拝借した、と。
村手:でも、基本的に今までどおり、プロデュースなど軸となる部分は湯本さんが取り仕切って、他を僕らが手伝う形なので、YES GOOD MARKETが大きく変化することはありません。

―今までは、湯本さんの繋がりを中心に出店者へとお声がけしていましたが、今年は村手さんの繋がりから参加いただくブランドやショップもあるそうですね。
村手:僕はURBAN RESEARCHでバイイングの統括やディレクションを長年やってきて、現在はURBSをディレクションしているので、さまざまなブランドやクリエイターと携わってきました。その関係性を活かして、YES GOOD MARKETのコンセプトに合う方々をご提案させていただいたんですよ。
―その新しい繋がりを湯本さんも楽しみにしていました。
村手:湯本さんや他の出店者のみなさんと気が合うようなブランドやショップに絞ってご提案したので、従来のYES GOOD MARKETに自然と馴染むと思っています。
―ご提案したブランドやショップは、村手さん自身、どこに魅力を感じていますか?
村手:デザイナーやディレクターなど、芯が強くて、スタイルを持っている。年齢を問わず、僕が尊敬できて、お互いに成長できるような人たちです。そういった方々を、少しでも多くの人に紹介したいと思いまして。

共感が広がる、出会いの場を目指して。
―URBAN RESEARCHもキャンプフェスのTINY GARDEN FESTIVALを主催していますよね。そちらも、さまざまなブランドや飲食店が出店しています。
村手:TINY GARDEN FESTIVALは、YES GOOD MARKETとはまったく毛色が異なります。ライフスタイル全般を提案する点は似ているかもしれませんが、TINY GARDEN FESTIVALはファミリー向けのコンテンツが中心。一方でYES GOOD MARKETは、ファッションやアートなどのカルチャー色が濃くて、TINY GARDEN FESTIVALよりもエッジが効いているイメージです。
―運営に携わってみて、いかがですか?
村手:ひと言でまとめると、すごく大変(笑)。でも、個人的な話ですが、YES GOOD MARKETは僕の仕事の集大成と思っているので、やりがいはとても大きいです。

―どんなところが村手さんの集大成に?
村手:僕が培ってきたすべてのものを、YES GOOD MARKETに活かせると思っています。長年、バイイングやディレクションをやらせてもらっていますが、店頭での接客も好きなんです。出店者さんを集めて、いろんな仕掛けを考えて、イベント当日にお客様が喜んでいる姿を見る。今までの仕事を全部一度にこなす感覚です。
―ディレクター、バイヤー、ショップスタッフの気持ちを同時に味わえる、ということですね。
村手:ファッションの仕事は、自分たちがかっこいいと思うアイテムを、お客様に共感してもらうことが醍醐味だと思っていて。YES GOOD MARKETに出店してくださるみなさんは、本当にかっこいい人たちばかりなので、ご来場いただいたみなさんに紹介したいという思いが強いんです。きっと、YES GOOD MARKETに来ていただく人なら、もし知らなかったとしても共感できる出店者が多いと思うんです。ただショッピングするのではなく、会話も楽しんでいただきたいです。
―出店者同士も、YES GOOD MARKETをきっかけに共感して、仲良くなっているそうですね。
村手:出店者も来場者も、YES GOOD MARKETで関係や交流を広めていただけたら嬉しいです。それが1番楽しいし、僕のやりたいことでもあります。

―今後のYES GOOD MARKETについて、湯本さんと話し合っていますか?
村手:ざっくりと話しています。次の世代の子たちにYES GOOD MARKETを継承してもらいつつ、そこに湯本さんや僕が、さらに新しくて、おもしろいことを足していきたい、と。ただ、規模を大きくしたいとは思っていなくて。やっぱり、マスに迎合することなく、自分たちも楽しめるイベントじゃないといけません。そうじゃないと、今まで協力してくださった人たち、来てくださった人たちが離れていってしまうので。クオリティを重視したいです。
―広げるよりも深めるということですね。
村手:そうですね。今まで以上のクオリティをプラスして、出店者や来場者が驚き、喜んでくれるコンテンツを作らなきゃいけません。YES GOOD MARKETのコンセプトは“非日常の空間でのショッピング”。来ていただいたお客様が、「お!」って反応するようなものが絶対に必要です。湯本さんは、来場者をワクワクさせたいという気持ちが強いから、出店者のみなさんは共感するんでしょうね。それは僕も勉強になっています。とにかく、今年のYES GOOD MARKETも、その場に集まった全員が楽しんでいただけると思います。
PHOTO/MASASHI URA TEXT/SHOGO KOMATSU