田中シェンさんと同じく、今回、YGMのために服を制作してくれた中田みのりさん。長年、ファッションモデルとして活動してきた彼女が「今着たいもの」をテーマに作った3型は、すべて“襟つき”。開発に至った経緯や、アイテムに込めたこだわりを聞いた。
中田みのり
なかだ・みのり。1994年生まれ、栃木県出身。モデル活動のかたわら、動物好きが高じて現在はペットブランド「Ouida」のディレクターも務める。最近は趣味であったカメラ熱が再燃し、カメラマンとしての仕事も多数。
Instagram:@minori_nakada
自分が着たかった、シャツとゲームシャツとスエット。

メンズ、ウィメンズ問わず、幅広いファッション媒体で紙面を飾ってきた中田みのりさん(以下、みのりさん)。その活躍は多くの人が知るところだけど、服づくりの経験は少なく、一歩踏み込めない理由があった。
中田「実は、以前別のブランドで服をプロデュースしたことがあるんです。そのときに、作りたいものをうまく表現できなくて、そこから服作りが少しトラウマになっちゃって……。ただ、今回は『アーバンリサーチ』の担当者さんもサポートしてくれるとのことだったので、引き受けさせていただきました。絶対いいものが作れると思ったから」
そうしてできたアイテムは、みのりさんが自信を持って送り出せる3型。コレクションのテーマは「自分が今着たいもの」と「襟付き」。

中田「作ったのはシャツと、サッカーのゲームシャツと、スエットで、全部自分が欲しかったもの。そして、すべて襟付き。襟を付けようと思ったのは、そのままじゃ私らしさが出ないと思ったし、どうせなら特別感のあるものにしようと思って」
次は、それぞれに詰まったこだわりを見ていきたい。何度もトライ&エラーを繰り返し完成した逸品、ご覧あれ。
オシャレは、我慢しない。

まずはストライプのビッグシルエットシャツから。
中田「今回のアイテムは、どれもベースとなっているアイテムがあるんですけど、シャツに関しては元の形がウィメンズだったんです。でも、どうせ作るならメンズにも着て欲しかったし、私自身、大きなシャツが欲しかったので。だから袖の幅をかなり広くして、肩も落として、襟も大きく」


そこに、女性の必需品であるリップの他、飴やガムなどを入れられるよう小さいポケットが付いている。さりげなく入っている刺繍も、デザインのいいアクセントに。
中田「ポケットは当初、普通のサイズでフラップを付けていたんです。でも、それだとどうしてもビジネスシャツっぽくなってしまうから、今の形に変更しました。刺繍の色も何度もトライして、今の色がベストだなって」

みのりさん自身、シャツは大好きだけど、着たいと思えるものになかなか出会えていなかった。だからこのシャツは、みのりさんの理想形。サイズや色、細かなディティールまで、心から“着たい!”と思えるものに仕上がっている。


次はサッカーのゲームシャツ。まだ試行錯誤中で、ここからさらに改良が重ねられる予定だ。
中田「自分で考えて、ロゴをつけてみたり、生地をストライプにしてみたりしたんです。ただ、どうしても中途半端になってしまって……。なので『アーバンリサーチ』の方にも助言をいただいて、製品にするときは、もっと日常でも着やすいものにしようと思っています。ロゴは左胸だけにして、ストライプの柄もなくす予定です」
みのりさん曰く「サッカーシャツは、一見癖がありそうだけど、何にでも合わせやすい」という。デニムやスラックスはもちろん、スカートにも合わせられる。裾をインしてもアウトしても様になる。

スエットは、みのりさんが韓国で購入したクルーネックのものをサンプリングして制作。そこに襟をつけ、ハーフジップをあしらうことで、ストリートのムードをまとった雰囲気に仕上がった。

中田「着ないとなかなか伝わらないと思うんですけど、裾がキュッとなってるんです。なので、もちろんそのまま着てもいいですし、中に折り込んでも着られます。このシルエットは絶対に再現したかったポイントですね」
みのりさんのオシャレの流儀は「我慢しない」こと。それに則って、どのアイテムも着心地や素材感も細かく設定し、ストレスなく、長く着られるものがラインナップされている。
YGM当日は店頭に立つだけでなく、シェンさんとのトークショーの他、自身のペットブランド「Ouida」の出店も決定している。

中田「きっとバタバタしていると思いますけど、楽しみたいですね。平家物語が好きだから、三十三間堂とか、八坂神社に行くのも楽しみ。(田中)シェンちゃんとのトークショーにも、ぜひみなさんいらしてください。内容はまだまったく決まっていないけど(笑)」
Photo:Yoko Kusano
Text:Keisuke Kimura
Edit:Jun Nakada