業界重鎮から全国200に及ぶショップまで。機能素材請負人が手掛ける京都カンパニー、THREADS inc.。

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〈STONEMASTER〉や新進気鋭の注目ブランド〈NORMAL EXPERT〉や〈JUGEM〉、〈SNBYA.H〉など、これらの名前を聞いて、食指が動く人はぜひご注目を。天然・人工の機能素材を熟知した代表が率いる「THREADS inc.」は、アパレル企業だけど、店舗を持たない。だから「YES GOOD MARKET」のブースでは、ここでしか買えないものが並ぶとのことなので、お見逃しなく。

引く手あまたの機能素材の目利き。

会社名は「THREADS inc.」。「THREAD」は糸を意味する英単語で、複数形「THREADS」になると、服を意味する。名は体を表すというが、まさに糸から作られる生地にこだわることが、この会社を特別なものにしている。

取り扱うブランドはさまざまだが、商品企画から入るものもあれば、営業だけを担当するもの、企画や営業まで一手に引き受けるものなど、企業の要望に応えるままにその技能を発揮している。なかでも〈STONEMASTER〉は企画をイチから手がけて、大手セレクトショップとコラボするなど、同ブランドを着実に育ててきた。

ほかにも、雑誌『POPEYE』を2000年代からいまにつながるポジションにまで作り上げた人気スタイリスト・長谷川昭雄さん、スイスのウールブランド〈sn〉との3社でメリノウールウェア〈SNBYA.H〉というブランドを立ち上げ、直近では「LOWERCASE」梶原由景さんと新しいブランドをスタートするのだとか。名だたる作り手からも信頼される理由は、代表を務める澤田さんが持つ、機能素材に対する知識と経験にほかならない。

澤田「スウェーデンの〈Klättermusen〉やチェコの〈Tilak〉などのアウトドアブランドを輸入する代理店『バーリオ』を立ち上げ、長年やってきました。元々機能素材が好きだったんですが、ここ4、5年は特にウールやシルクなどの天然の機能素材がすごく気になっていたんです。調べているうちにわかってきたのは、日本のファブリックメーカーの高い技術力。それまで輸入代理店を営んできましたが、今後は逆に日本の良さを海外に輸出したいと思い、昨年春にバーリオを辞任、新たに会社を立ち上げました」

どうやら話を聞くと、日本メーカーは兎にも角にもアピールが苦手なところが多いんだとか。そのため、認知度があまり高くないという苦しい実情があるそう。

澤田「それがもったいないなと。だから、機能素材を使ってプロダクトに落とし込んだり、ブランドの世界観をイチからつくったりと、そのお手伝いをしています。例えば、コミュニケーションがうまくないけど、深く知り合うとめちゃくちゃおもしろいことを考えるデザイナーと機能素材を引き合わせてみたり。そんな間を取り持つような、仲人みたいなことが好きです」

THREADS inc.のブースに並ぶもの。

前回の「YES GOOD MARKET」にも参加した「THREADS inc.」。そのときの体験が新鮮だったと振り返る。

澤田「あの時は、僕らが普段は接することがないようなお客さんが多かったと記憶しています。それがおもしろくて。前回はゲートがあったけど、今回は平安神宮のある岡崎公園で開催されるので、どこからでも自由に入れるだろうから、もっといろいろなひとに出会えることを期待しています」

では、何をブースでは販売するのだろうか?

澤田「うちには、ブランドのサンプル品のアーカイブがいっぱりあるんですが、それをこの時だけ販売しようかなと。試作段階ではいい色だけど、ブランド全体を俯瞰で見たときに、ちょっと浮いちゃうから生産しないというアイテムがあったりするんです。〈STONEMASTER〉を中心に、そういうおもしろいサンプルを出せたらと思ってます。もちろん、通常お店に並ぶものではないですし、言わばすべて一点モノです。楽しみにしていてください」

THREADS inc.
Instagram:@threadsinc_japan

Photo:Shinsaku Yasujima
Text:Shinri Kobayashi
Edit:Jun Nakada