「プアア」と読む、このお店「pua’a」の口コミをみていると、“安い!旨い!狭い!”とある。“安い!旨い!”はわかるけど、“狭い!”と書くくらいの狭さとは、どんなものだろう? “安い!旨い!狭い!”を体感したくて、お店を訪ねた。
目指したのは、修行したミシュラン餃子店。

出迎えてくれたのは、店主・尾嶋さん。「ご店主、腰が低すぎやしませんか?」と言いたくなるくらい、丁寧な物腰が印象的だ。

尾嶋「この場所は、不動産屋からは1.5坪と聞いてます。定員は6人ですが、場所を譲り合っても8人くらいが限度です。人が多いときには、カウンターの中に入ってもらうことも」
そんなお客さんとの近い距離感で、営業を続けて二年近くになる。


場所は、「pua’a」のような狭小店舗ばかりが並ぶ「四富会館」と呼ばれる建物の中にあり、その独特な雰囲気はさながら隠れ家のようでもある。ちなみに鯖寿司で有名な人気店「日常」もこの中にある。そして、何を隠そう「pua’a」は、「日常」の跡スペースに入ったお店なのだ。
尾嶋「客として『日常』にはよく通っていて、店をやりたいと店主に相談していました。そんなとき、引っ越すからここが空くのでやらない? と声をかけてもらったんです」
提供するのは、餃子をはじめとした中華料理のおつまみとバリエーション豊かなお酒。でもなぜ餃子なのだろう?


尾嶋「もともと餃子が大好きだったんです。いろいろなお店を食べ歩いて、食べ比べた結果、ミシュラン・ビブグルマンにも入った、東京の阿佐ヶ谷『餃子坊 豚八戒』の餃子が個性的でいちばん好きだと感じました。そこで働かせてもらいながら、餃子の研究を重ねました」
結果、「『餃子坊 豚八戒』の餃子に限りなく近いと思います」と自負する、「pua’a」の餃子が誕生した。


看板メニュー「華餃子(羽根付焼餃子)」を食べてみると、八角など10種のスパイスが絶妙に効いている。お店は小さいが、口に運べば口中に広がるのは、スパイシーなビッグバン! というとちょっと大袈裟か……、とにもかくにも、しっかりとした味付けなので、何もつけずにそのままか黒酢につけるくらいがちょうどいい(お店では醤油も提供可)。口に入れるとまず華のように開いた餃子の羽のサクッとした感触があり、その直後にジューシーな餃子本体を堪能できる。そして、キクラゲの歯応えがいいアクセントに。


お次は、「pua’a」オリジナルの「水餃子」。「華餃子(羽根付焼餃子)」と違ってスパイスは使っていない。皮も変えてあり、こちらは肉厚でやわらかい。干し椎茸のうまみを活かしたその優しい味わいは、何個でも食べられる“無限餃子”の世界へと誘う。
多くのお店がそうだが、面倒だから焼き餃子と水餃子の味付けをいちいち変えることはしない。しかし、「pua’a」は違う。店主の餃子への誠実さがうかがえる事実だと思う。しかも、餃子は基本的にはその日に用意したもの、古くても前日のものを食べてもらうようにしているのだとか。これまた餃子愛を感じられずにいられない。
ほかにも「酸辣湯」や「麻婆豆腐」も締めとして大人気だという。
pua’aのブースに並ぶもの。

「pua’a」が「YES GOOD MARKET」で出すものといえば、当然餃子となる。7月の取材時点では、こんな計画だった。
尾嶋「『華餃子(羽根付焼餃子)』と『水餃子』の両方、もしくはどちらかを持っていこうかなと思ってます。『華餃子(羽根付焼餃子)』を作るのは、オペレーション的にちょっと大変ですが、ぜひ個性あふれる餃子を楽しんでもらえたら」
では、イベントにかける意気込みをぜひどうぞ。

尾嶋「もともと『YES GOOD MARKET』が好きで、静岡開催のこのイベントにも行ったことがあります。そこに出店していたお店に僕自身が行ってみたくなったように、今回のイベントでも『pua’a』に行ってみたいという思ってもらうようがんばりたいです」
pua’a
住所:京都府京都市中京区西大文字町615 四富会館1F
時間:16時〜23時
定休日:日・月・祝、不定休
Instagram:@pua.a___
Photo:Shinsaku Yasujima
Text:Shinri Kobayashi
Edit:Jun Nakada