メンズとウィメンズのファッションの垣根は、年々縮まってきている。特にストリートにおいては、その差はほぼないと言っていい。モデルやイラストレーターとして活躍する田中シェンさんも、今はメンズの服を着ることが常。そんな彼女とYES GOOD MARKET(以下、YGM)が作ったユニセックスのアイテム、めちゃくちゃいい出来です。
田中シェン
たなか・しぇん。鹿児島県出身。英語、中国語、日本語を操るトリリンガル。ファッションモデルとして活動しながらSHENTASTIC creative studioを立ち上げ、イラストレーターや動画クリエイターとして活動。『田中のおしゃべり日記』と題したインスタグラムが人気。俳優としては、NHK大河ドラマ「いだてん~オリムピック噺~」(19年)やNetflix「First Love 初恋」(22年)などに出演。2024年8月31日から代官山蔦屋にて初のPOP UPを開催予定。
Instagram:@shen_tanaka
メンズのファッションへの接し方が、しっくりくる。

多くのフォロワーを抱え、自身のスタイルをSNSで発信する田中シェン(以下、シェンさん)。10代の頃、ファッションの仕事がしたいと思い、その頃からファッションに興味を持つようになり、大学や専門学校でもファッションデザインを学んでいた。その後、大手アパレル会社に就職したのち、モデルへ転身。
そんな服を愛してやまないシェンさんだが、コロナ以前と以降で、そのスタイルは大きく変化したという。

シェン「昔は、いわゆる女性的なファッションだったんですけど、コロナのときに時間がたくさんあったから、自分のファッションを見つめ直していたんです。このとき、街中で自然と目で追っかけているファッションが男性のほうが多いことに気づいて。男性のファッションって、一見シンプルなんだけど、こだわりがたくさんある。しかも男性って服の生産背景も好きじゃないですか。そうしたファッションの接し方にすごく惹かれて、だんだんシフトしていったんです」
今はメンズの服を着ることがほとんど。機能的な服も多い。そんな彼女に「YGM」が服のプロデュースをオファーし、今回、特別なアイテムが完成した。
シェン「これまで、服を作る経験はなかったから、オファーは素直にうれしかったです。自分が今着たい服、一生懸命考えて作りました!」
付き合いたての女の子が彼氏の家に泊まって、次の日に着たい服。

そうしてできた服は全部で4型。何度も打ち合わせを重ね、とっておきのアイテムが出来上がった。
シェン「全部のアイテムに共通しているんですけど、コンセプトは、付き合いたての女の子が彼氏の家に泊まって、次の日に着る服がないってなった時に『これ、可愛いじゃん!』って借りた服。なのでメンズサイズなんだけど、女性ももちろん大丈夫。私、頭の中が少女漫画なんで(笑)」
また、今回の4つのアイテムは、すべて着ることによって完成する。もちろん、単体でのクオリティも申し分ないのだけど、「すべて着ることで、より輝いてくれる」と、シェンさん。では、それぞれのアイテムのこだわりを。まずはジャケットから。

シェン「身幅がワイドなジャケットがとにかく好きだし、裾にドローコードが付いているのもよく着ます。素材はシャリ感があって撥水性が高いものを。どんなスタイルにも合わせやすいアイテムだから、絶対に作りたかったんです。カラーはネイビーとブラウンの2色。ネイビーはパーツと刺繍を薄い水色にしています」

次にキャップ。素材はコーデュロイで、よりカジュアルな雰囲気。サイドにはYGMのポジティブなメッセージに呼応するように、シェンさん謹製のイラストとメッセージが刺繍されている。

シェン「フランス語のoui ouiと、ニコちゃんマークですね。あと、私がイラストの展示をするときに作るグッズは『Silence Creates Rhythm』という屋号でやっているんですけど、それとYGMを掛け合わせて、新しいロゴを作りました。今回作っているアイテムは全部素材を変えていて、ジャケットはシャリシャリ、キャップはザラザラとか、素材ならではの音がするのが気持ち良くって。音を感じられる服とでも言うのかな。そういう想いも込めています」
そして、シェンさんが最も気に入っているというベストがこちら。


シェン「ベストはちょっとだけ綿が入っていて、あたたかいです。YGMの開催は9月だから、そこから冬にかけて、長く着てもらえたらうれしいですね。このベストもベースがメンズなのでシルエットは大きめなんですけど、個人的には、これを着た女子の“着せられてる感”がいいなって。肩も落ちて、明らかに大きいんだけど、それが可愛いんですよ。フード部分は収納できるので、自転車に乗っていてもバタつかない仕様になっています。飾りだけのフードも多いけど、どうせならしっかり機能するものにしようと、こだわって作りました」

パンツは、コットンの肉厚生地。裾の部分を折り返すことで、メッセージが出てくるというギミックも施されている。


シェン「メッセージのベージュが良くないですか? 後ろからしか見えないですけど、いい差し色になってくれるんです。ロールアップしていないときは、パンツが靴の上にたまってクシュっとなる。その感じも大好き。ワイドなストレートシルエットなので、男女問わず、どんな人にも似合うと思います。製品になったときはサイズが調整できるよう、ウエストにベルトも付く予定です」
YGMの開催日は、シェンさんも現地にかけつけて、店頭に立つ予定。時間帯によっては、シェンさん直々の接客を受けられる、かも?(詳細はYGMのSNSで確認を)

シェン「これから、もう少しだけ改良を重ねるので、当日はもっと素敵な製品になっているはず。早くみんなが着てくれている姿を見たいですね! それと、たくさんのお店が出店すると聞いているので、会場に来たお客さんもいい感じで混ざり合って、それぞれの服を楽しんでいただけたらうれしいです。ではみなさん、会場でお待ちしてまーす!」
Photo:Yoko Kusano
Text:Keisuke Kimura
Edit:Jun Nakada